東京の愛煙家が集うベローチェとルノアール 受動喫煙防止条例への対応は?:大手チェーンに聞く(2/3 ページ)
2020年に東京都の受動喫煙防止条例が施行されると、東京を中心にチェーン展開するベローチェとルノアールは経営に大きな影響を受ける可能性がある。残り2年でどのような対策をとる予定なのだろうか。
国の基準より厳しい都の条例
まず、受動喫煙防止条例の概要を簡単に説明しよう。従業員を雇っている飲食店は原則屋内禁煙となるが、煙が外に漏れない専用喫煙室をつくれば、その中で喫煙が可能となる(喫煙室内で飲食は不可)。ちなみに、火を使わない加熱式タバコの場合は、専用喫煙室内で飲食も可能となる。
一方、18年7月に成立した改正健康増進法では、多くの人が利用する施設内での喫煙を原則禁止とし、専用喫煙室内でのみ喫煙を可能としている。大枠では都の条例と似通っているが、中小規模の飲食店については「喫煙可」といった標識を掲示すれば喫煙が認められるので、都の条例よりはやや緩い基準といえる。
受動喫煙防止条例が施行されると、飲食店内において喫煙者の利便性が大いに損なわれる可能性がある。タバコを吸うためにわざわざ荷物を席に置いて専用喫煙室まで行かないといけないからだ。
ベローチェとルノアールの回答は?
ルノアールはコーヒーが1杯600円前後とやや割高だが、食後に緑茶が提供されたり、店内が広々としていたりするので、ゆったりと時間を過ごしたい喫煙者に支持されている。ルノアールの広報担当者は「当社は喫煙するお客さまと喫煙されないお客さまの両方に喜んでもらうことを使命としています」と説明する。都内の店舗は全て喫煙可となっているが、喫煙ブースを設けたり、区画分煙を実施したりと何らかの分煙対策は行っている。
現在は、非喫煙者のお客のために密閉式の喫煙室を徐々に増やしているという。都の条例や国の法律を踏まえた方針については「現時点で公式なコメントはない」と回答した。
ベローチェの担当者は2020年に向けた対策について「検討を始めた段階であり、現段階で具体策は公表できない」と回答した。都の条例に対応するためには、設備やコストなどの面でさまざまな検証が必要になるので、方針を決めるのは簡単ではないという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
「昭和の喫茶店」が廃れる一方で「ルノアール」が好調な理由
低価格が武器のコーヒーチェーンが伸びる一方で、昔ながらの「昭和の喫茶店」が次々と閉店を余儀なくされている。喫茶店としては割高な料金でゆったりと過ごせる椅子やテーブルが特徴の「喫茶室ルノアール」が好調だというが、その理由とは?
家賃が200万円もするのにスタバがもうかる理由
スタバは大都市の一等地に多くの店舗を構えている。1杯数百円のコーヒーを販売しており、店に長居するお客も多い。家賃が200万円以上するような場所でも利益が出せる秘密とは?
「全面禁煙化」から1カ月 串カツ田中が得たもの、失ったもの
串カツ田中が全面禁煙化に踏み切ってから1カ月がたった。客層や売り上げにはどんな変化があったのか。運営元の串カツ田中ホールディングスが報告書を公開し、成果と課題点を明らかにした。
日本の生産性が低いのは「たばこ後進国」だから?
数年ほど前から「日本企業の生産性が低い」といった話をよく耳にする。労働時間を短縮したり、効率化を図ったり、さまざまな取り組みをしているが、喫煙者の問題はあまり話題にならない。仕事中に「ちょっと一服」と言って、何度も離席する人は生産性がいいのだろうか。
「肺がん患者にヤジ」の自民議員が元社長 ジョイフル、将来の「全面禁煙化」表明
ジョイフル元社長の穴見陽一議員が、衆院厚生労働委員会で肺がん患者に「いい加減にしろ!」とやじを飛ばした。取材に対し、同社は「国会議員としての発言で、自社とは無関係」と回答。将来的な「全面禁煙化」を表明した。
