東京の愛煙家が集うベローチェとルノアール 受動喫煙防止条例への対応は?:大手チェーンに聞く(3/3 ページ)
2020年に東京都の受動喫煙防止条例が施行されると、東京を中心にチェーン展開するベローチェとルノアールは経営に大きな影響を受ける可能性がある。残り2年でどのような対策をとる予定なのだろうか。
他のチェーン店の対応は?
全国展開する大手カフェチェーンが現在行っている分煙対策と、2020年の“原則禁煙”に向けた取り組みはどうなっているのだろうか。
スターバックスは全店で店舗内を全面禁煙としているが、スターバックスジャパンの担当者によると「一部の店舗では共用部やテラスなど外部で喫煙できる店舗もあります」という。日本に進出した当初は喫煙可の店舗もあったが、すぐに喫煙スペースを撤去したという。
タリーズコーヒージャパンの広報担当者は今後の対策について「まだ詳細は決まっていない」と説明する。喫煙ができる店舗には全て密閉タイプの喫煙室が用意されているが、特殊な換気システムを導入しており、扉が開いても喫煙室内の煙が外に出ないようにしているという。同社はもともとビジネス街に多く出店しており、店舗内の半数以上が喫煙席というケースもあったが、現在は喫煙席と禁煙席の割合は半々で、新規オープンする店舗に至っては喫煙席を全体の1割程度に抑えている。
コメダ珈琲はどうだろうか。広報担当者によると「今後の方針について、社内で公式な検討はしていない」という。コメダ珈琲では新店のオープン時には全面禁煙とするように推奨しているが、分煙にするか全面禁煙にするかはFC加盟店のオーナーに任されている。コメダ珈琲店は18年2月段階で約800店舗を展開しているが、全面禁煙もしくは分煙を実施している店舗は全体の97%に及ぶ。中京地区で古くから営業している喫煙可の店舗の中には現在も分煙されていないところがあるという。
ドトールコーヒーは「今後の対策内容について公表はしていないが、国の法律や都の条例を踏まえ、粛々と対応する」(広報担当者)という。喫煙できる店舗のうち6〜7割では分煙を実施しているといい、大手チェーンの中では珍しく分煙が徹底されていない。
このようにみていくと、カフェチェーン各社は2020年に向けて特に目立った対策をしているわけではなく、徐々に“非喫煙”にシフトしてく方針のようだ。ただ、残念なことに都の条例に大きな影響を受ける可能性があるベローチェとルノアールからは抜本的な対策に取り組んでいる様子が伺えなかった。今後の動向を注視したい。
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