お客さんがついつい買いたくなる、「ノンクロージング話法」とは?:説得ではなく、納得(2/4 ページ)
「営業をしてるけれど、なかなか売れない」といった悩みを抱えている人も多いのでは。そんな人にオススメなのが「ノンクロージング話法」。あまり聞き慣れないこの話法、どういうことかというと……。
営業の全体マップの構成
営業の全体マップは以下の3つで構成されています。
(1)問題発見
(2)よりよい未来の提示
(3)そこに至る解決策
医者はまず、患者の悪いところをヒアリングしながら一緒に探します。問診票やレントゲン、あるいは触診などを通して。そして患者にいろいろと質問をします。生活習慣や、この症状が出るまでどらくらいの期間があったのか。自覚症状があったのかなかったのか、そして、これはどんな病気なのか、原因は何なのか、などを聞き出します。これが(1)の「問題発見」の段階です。
そしてどうすれば治るのか、どれくらいで治るのか、手術が必要なのか、再発しないためにはどうすればいいのか、などを説明します。これが(2)の「よりよい未来の提案」の段階です。
最後に実際に治療方法を提案したり、お薬を出したりします。これが(3)の「そこに至る解決策」です。
あなたも一度は医者にかかったことがあると思うのでイメージしやすいとは思いますが、医者にはクロージングという概念はありません。また、少々時間やお金がかかったとしても、患者がこのままではダメだと感じ、よくなりたいと思えば、治療方法や薬を買わない選択はなくなります。というわけでセールスマンでなくドクターというイメージでお客さんに臨むことは非常に大切です。
医者のようにノンクロージングで治療方法や薬を買ってもらうには、先述した営業マップ(1)の「問題発見」が最も大切です。お客さんと一緒に問題点や課題を掘り起こしていくことに最も時間を割いてください。この問題をお客さん自身が自覚していないと、なぜ自分にとってこの商品やサービスが必要だということが分かりません。そんな状態でお客さんが購買を決めることはないのです。
先ほどの医者の例で言うと、患者の話を何も聞かずに、この薬が効きます、手術が必要です。と言われたのと同じことです。自分のことを知らない、何も症状を理解していない医者に出された薬を受け入れる患者はいません。お客さんの問題点を炙(あぶ)り出す質問をいろいろな角度でぶつけてください。なぜなら人がモノやサービスを購入するときは以下の2つのときだけだからです。
- 現状の問題を解決したい
- 問題はないがよりよくなりたい
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