インタビュー
65歳でネスレに中途入社したベテラン営業マンが輝いている理由:シニアスペシャリスト採用の条件(2/4 ページ)
大手メーカーで営業マンとして20年以上働き、50代で起業経験もある石川さんは、65歳でネスレ日本に入社した。上司や同僚にも仕事ぶりが評判だというが、そのわけとは――。
経験豊富でも、プライドの高すぎるシニアは活躍が難しい
通常の中途採用と異なり、募集時点では部署や職種を限定せず、応募者の経験や希望を聞いて、適する役割があれば採用する。そのため、採用人数の目標などは設定していない。これまでに採用されたのは石川さんと、ITエンジニア、工場のエンジニアの3人だ。
採用の効率は良いとは言えないが、入社後に活躍してもらうには、選考過程での妥協は禁物だ。芹澤さんによれば、シニア世代の応募者の傾向としては「俺はこれしかしない」と自分の役割を限定している人、前職での経歴を元に「マネジメントはできるけれどプレイヤーとして動くことはできない」という人、プライドが高すぎる人が多く、そうした人たちの採用は難しい。
石川さんは面接の際、「若い人からいろいろ言われても、話を聞くことができるか?」という質問をされ、「それに関しては大丈夫。与えていただく仕事に前向きに取り組む」と答えたそう。そして実際に今、「石川さんが来てくれてすごく助かっている」という現場での評判が芹澤さんの耳にも入ってくるそうだ。
「ご自身のキャリアをひけらかさず、『自分にできることをします』という姿勢が周りに受け入れられているようです。やはり人柄というのはとても大事ですね」(芹澤さん)
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