なぜ「3万円のごみ箱」が日本で売れているのか:ごみの体積を3分の1に(3/3 ページ)
英キッチン用品ブランド「Joseph Joseph」が2017年10月に発売した「3万円のごみ箱」がすごい勢いで売れている。日本の消費者の心をつかんだ機能とコンセプトとは? 日本法人社長に聞いた。
日本では「理解できないと買わない」
販売店や消費者に良さを理解してもらう取り組みが功を奏し、クラッシュボックスの注目度は一気に高まった。商品は各国で販売されているが、ここまで売れているのは日本だけだという。「各国の代表者から、『どうしてそんなに売れているのか』と聞かれました」
安藤氏はその理由をこう説明する。「欧米では日本よりもブランドが浸透しています。商品を出せば店に並べてもらえるし、ある程度売れる。しかし、日本では欧米ほどの認知度がないため、しっかりと機能を理解できないと買ってもらえません。先行販売の失敗でそれを実感しました。“知ってもらう活動”に注力した結果、販売が伸びたのではないでしょうか」
競争が激しい高級キッチン用品の中でも、「ごみ箱」の競合は少ないという。数千円の商品が多い中で、機能面のメリットを打ち出した高級品は珍しい。「ごみ箱といえば、サイズやふたの形状などを重視しがち。『ごみ自体をどうにかできないか』という発想が他とは違うと考えています」
この機能を生かして、今後は「業務用商品としても展開したい」という。企業や店舗から出たごみは、家庭ごみと同じように収集してもらうことができず、基本的には専用の料金を払う必要がある。量が多いと業者に依頼することになり、コストがかさむ。ごみ袋の量を減らすニーズはあると安藤氏は見る。現状の商品でも、美容サロンや幼稚園など、家庭以外で使っているケースもあるという。
「Joseph Josephのアイテムは、日本では『おしゃれなキッチン用品』というイメージを持つ人が多いようですが、実は『1商品多機能』という価値を大切にしています。クラッシュボックスをきっかけに、ブランドをより深く理解してもらう取り組みを進めていきたいと考えています」
Joseph Josephは「デザインで生活の困りごとを解決する」ことを目指しているという。簡易包装が増えたとはいえ、ギフト包装を減らすことは難しい。インターネット通販が広がっているが、利用すると箱や緩衝材のごみが出やすい。ごみの問題は生活と密接に結びついている。「生活をより良くしたい」と考える人の心に、クラッシュボックスの機能とコンセプトが届いているのかもしれない。
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