人の気持ちが分からないダメ管理職はAIに取って代わられる:マネジメントの達人に聞く(4/4 ページ)
優れたマネジャーと駄目なマネジャーの違いとは何だろう? プルデンシャル生命保険で伝説のマネジャーと呼ばれ、『25年間「落ちこぼれチーム」を立て直し続けてわかった マネジャーとして一番大切なこと』の著者でもある八木昌実氏が組織マネジメントの本質を語ってくれた。
AIのマネジャーに仕事を奪われる
もしAI(人工知能)のマネジャーが出てきたら、そういう人はいらないでしょうね。ロボットやAIには感情がないかもしれませんが、その分、人間よりも速く、正しい答えを出せることが多いでしょう。例えば、保険会社の場合、保険料などの複雑な計算の解を瞬時に導き出すことは人間ではなかなか太刀打ちできません。そう考えると、自分の肩書きにすがって仕事する、人の感情を理解できないようなマネジャーは、AIに仕事を奪われると思います。
メンバーのやる気を起こさせず、画一的なことをやれと命令するようなマネジャーだったら、僕はAIマネジャーを選びますね。感情はなくても瞬時に正しい答えを出してくれるので、そっちの方がはるかに役に立ちますよ。
人の感情が分かるマネジャーは今後も残っていくでしょうが、メンバーが何を考えてるのか分からないようなマネジャーであれば、AIの方がよっぽどいいです。
ただし、メンバーは十人十色だからと言って、すべての意見を受け入れていてはマネジメントはできません。組織全体でこうしようと決めたことに対しては、メンバーはしっかりやるべきだと思います。
中には「私には関係ない」と言う人もいるでしょう。そんな彼らに対しても理解を示しつつ、「皆でやろうと決めたんだから、それに向かってあなたも協力してくださいね。組織の目標が達成できなければ自分自身も困るわけですから、困らない程度にはやってね」などと、マネジャーは丁寧なコミュニケーションを心掛ける必要があります。そういうことをせず、メンバーの意見を無視して「皆でやるんだから、お前もやれ」というのは良くないです。
もっとも、そういうコミュニケーションができるのも、普段から対話をしていて、信頼関係がお互いにあることが前提です。いきなりやっても、うまくいくことはないでしょう。(談)
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