『情熱大陸』に出たい連中、痛くないか?:常見陽平のサラリーマン研究所(1/4 ページ)
読者の周囲に「オレ、『情熱大陸』に出たいんだ」という人はいないだろうか。正直に言おう。こういう人は、痛い。ちょっと引いてしまう人たちに、どのように対応すればいいのかというと……。
衝撃的な漫画と出会ってしまった。『情熱大陸への執拗な情熱』(宮川サトシ/幻冬舎)だ。ネット媒体での連載をもとにしたもので、タイトルで検索すると、今も一部は無料で読むことができる。メルマガやブログで紹介しただけでなく、人に会うたびにススメまくっている。
『情熱大陸』のスポンサーであるアサヒビールの女性社員(関西弁のネイティブスピーカー)にも紹介したところ、彼女も絶賛していた。「めっちゃ、『情熱大陸』出たくなってんけど、アサヒビールの社員やから出られへんわ」と悔しがっていた。確かに、出たら冷めるよな。
なぜこの本をススメまくっているのかというと、タイトル通りの本だからだ。著者は同番組の強烈なファンなのか、いじっているのかよく分からなくなったが、とにかく笑える。なんでも同番組への出演を夢見る人は、「稼いでいるのに、忙しいから、仕事の合間に質素な食事ですますオレ」をアピールするために、普段から立ち食いそばをカメラ目線で食べる練習をするらしい。
それだけではない。クルマを運転しながらインタビューを受ける練習もする。さらに母校を訪問するシーンのために、駅から歩き懐かしい場所を紹介したり、「懐かしいなあ」と教室や部室を見つめてつぶやいたり、そんな練習までするのだ。
普段から、アサヒビールを飲んで、テンションをあげる。スーパードライのCMに出ている福山雅治は歌手ではなく、俳優でもなく、チイ兄ちゃんでもなく、「神」なのである。もちろん、葉加瀬太郎が演奏するテーマ曲でいつもテンションを上げまくる。来たるべき“上陸”を目指して、日々努力するのだ。
仕事人ドキュメンタリー番組でいうと、『情熱大陸』と人気を二分するのが、NHKの『プロフェッショナル 仕事の流儀』である。サッカーの本田圭佑選手が出演した際に「プロフェッショナルとは?」という問いに対して、「ケイスケ・ホンダです。今後はもう(プロフェッショナルの意味を)ケイスケ・ホンダにしてしまえばいいんです。お前、『ケイスケ・ホンダやな』みたいな」などと答えたので、多くの人から失笑を買ったのは記憶に新しい。なんでも日本代表のメンバーからも、この発言はいじられまくったらしい。
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