『情熱大陸』に出たい連中、痛くないか?:常見陽平のサラリーマン研究所(2/4 ページ)
読者の周囲に「オレ、『情熱大陸』に出たいんだ」という人はいないだろうか。正直に言おう。こういう人は、痛い。ちょっと引いてしまう人たちに、どのように対応すればいいのかというと……。
ドキュメンタリーの収録は大変だ
ここまで読んで、ちょっと引いてしまった人もいるだろう。私も引いた。しかし、皆さんの周りにも『情熱大陸』や『プロフェッショナル 仕事の流儀』に「出たい!!」と言っているやからが、いないだろうか。私の周りには、いた。学生団体の幹部や、ベンチャー企業の経営者や社員にもよくいるタイプだ。
意識高い系ウォッチャーとして、この手の「ドキュメンタリー出たい系」を興味深く観察してきた。しかしである。ここで、警鐘を乱打しておきたい。素人がドキュメンタリーに出ようとすると、どれだけ大変なことになるかを。元広報担当者として、ドキュメンタリー撮影がいかに大変か、それに耐えることができるのかということについて考えてみたい。
私の周りには、『情熱大陸』に出演したことがある“上陸者”が数人いる。そのうちの1人に聞いたのだが、温厚そうなその方が数回キレるほど、撮影は大変だったという。番組を見ていると分かると思うが、作家が原稿を書けずに苦悶(くもん)して、ついには昼寝をしている様子なども映される。自宅にも容赦なくやって来る。黒歴史的な過去の写真までさらされる。奥さんや子どもの姿までお茶の間に公開される。このように自分の私生活をさらされたくない、と思うはずだ。普通は。
このやり取りについて、私がブログに書いたところ、フリーの映像ディレクターとして『情熱大陸』を何度か撮ったことのある友人から「私が担当したときは、そんなことなかった」という釈明があった。複数の担当者が番組を撮っているので、スタッフによって違いがあるのだろう。
私は企業の広報担当者として、ドキュメンタリーの取材対応をしたことがある。結論から言うと、何度もキレたくなるくらい大変な作業だった。2003年、テレビ朝日系で放送されていた『サンデープロジェクト』という報道番組から、職場をドキュメンタリーとして取り上げたいという話があったのだ。
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