リンガーハットに新工場建設を決断させたモヤシへの情熱:モヤシだけ自社生産(1/3 ページ)
リンガーハットは2019年6月の稼働を目指し、モヤシを製造する新工場を建設する。実は、ちゃんぽんに使う野菜の中でモヤシだけは自社生産しているのだが、その背景には商品力向上に向けた強い情熱があった。
「新工場でいいモヤシを作っていきたいと思います」
リンガーハットの秋本英樹社長は新工場建設への意気込みをこのように語った。
現在、同社は鳥栖工場(佐賀県鳥栖市)と富士小山工場(静岡県駿東郡小山町)でそれぞれモヤシを製造しているが、鳥栖工場の老朽化に伴い、佐賀県吉野ヶ里町に新工場を建設することを決定した。2019年6月の稼働を目指しており、投資額は9億2000万円を見込んでいる。
主力商品である「長崎ちゃんぽん」の具には、キャベツや玉ねぎなどが使われているが、モヤシ以外は全て契約農家から仕入れている。なぜ、モヤシだけ自社生産にこだわっているのだろうか。
まず、リンガーハットにおけるモヤシの重要性について説明しよう。同社はかつて外食産業全体で繰り広げられた低価格競争により、2000年代に何度か最終赤字を計上した。そんな苦しい状態から抜け出すため、「国産野菜100%」プロジェクトを立ち上げ、全店舗で使用する野菜を全て国産に切り替えた。健康志向の高まりという追い風もあり、その後、復活を果たした(関連記事:リンガーハットが、24億円の最終赤字から「復活」できた理由)。
現在、リンガーハットの主力メニューである長崎ちゃんぽんには国産野菜が255グラム使用されているが、モヤシのおかげでシャキシャキとした食感を実現している。モヤシは1984年から自社工場で生産しているが、リンガーハット復活の立役者である国産野菜の商品力を向上させる役割を担っているのだ。
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