「お客様満足度」を高めることばかり、考えてはいけない:喜びの戦略は割に合わない(3/5 ページ)
顧客満足度を高めることが大切――。このことを信じて疑わない企業も多いだろうが、実は“そこそこ”でいいことが分かってきた。顧客満足度の結果と将来の顧客ロイヤルティーの間に統計的な関係はなくて……。
顧客が本当に望んでいること
こうした考えは実際に日本でも当てはまるのだろうか。リブ・コンサルティングが日本国内で1100人の顧客を対象とした調査を行ったので、その結果の一部をここでご紹介したい。
「特定の商品を繰り返し購入する理由」として、「顧客対応が良いから」よりも「購入のしやすさ」を挙げている人のほうが2割ほど多い結果となった。つまりは、「顧客対応の良さ」よりも「購入のしやすさ」のほうが再購入の要因としては大きい、ということである。
さらに顧客対応の中身においても、「定期的なフォロー」や「気遣い接遇」といったおもてなしに近い要素よりも、「説明の分かりやすさ」「問題解決力」「返品・交換対応」といった、まさに顧客努力の軽減につながる要素のほうが、再購入との相関が強いことが見て取れる。『おもてなし幻想』でいうところの「顧客努力の大きさが最もロイヤルティーに影響を及ぼす」という傾向と合致しているのである。
このことは、営業活動においても当てはめて考えることができる。例えば顧客との継続的な関係性を維持するために、顧客をもてなすことや小まめにフォローすることに一生懸命気を配っている営業担当者は多い。
しかしながら、顧客が本当に望んでいるのは、何か商品にトラブルが起こったときにスピーディーに問題解決してくれることや、トラブルシューティングの方法が簡単にWeb上で調べられること、あるいは必要なタイミングで容易かつスピーディーに商品を発注できる仕組みであることだ。そうした「顧客の手間や努力を軽減すること」に自社はどれだけ気を配れているのか、今一度目を向けてみる必要がある。
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