中野サンプラザはなぜ「大三角形」なのか? 中野区に聞いてみた:解体される方向にある(1/2 ページ)
1973年に開業してから中野区民に愛され続けた中野サンプラザだが、現役区長が再開発の方向性を打ち出したことで、解体される可能性が高まった。そこで、中野サンプラザはなぜ「大三角形」のデザインなのか、運営方法はどのようになっているのか、中野区の担当者に聞いた。
東京都中野区のシンボル的な存在である中野サンプラザは、コンサート会場、レストラン、結婚式場、会議室などを備えた複合施設だ。特に、人気歌手のコンサートが開催されると、目の前の広場にファンの行列ができるのだが、地元民にとっては当たり前の光景になっている。
1973年に開業してから中野区民に親しまれてきたが、2024年をめどに解体されようとしている。9月11日、中野区の酒井直人区長は区議会定例会で「再整備に向けた検討を進展させていく考えである」と述べた。また、建て替え後の施設については。現在のデザインや名称を踏まえる方針も示した。
中野サンプラザの最大の特徴は「大三角形」と呼ばれるデザインなのだが、どのような経緯でこのような形になったのだろうか。中野区の担当者に聞いてみた。
実質的に中野区が所有する
中野サンプラザはもともと雇用保険法に基づく勤労者福祉施設として建設された。名前は一般公募から選ばれたもので、中野サンプラザの公式Webサイトによると「若さ満ちあふれるエネルギーの象徴『太陽=SUN』と、人々が集う場所『ひろば=PLAZA』が結びつき、『SUNPLAZA』という愛称が生まれました」という。
中野サンプラザの所有者は厚生労働省所管の特殊法人である雇用・能力開発機構(2004年以降は独立行政法人)だったが、02年に同機構から中野区へ譲渡の打診があった。そこで、04年に中野区と民間企業グループが共同出資による「株式会社まちづくり中野21」を設立し、中野サンプラザを取得した。現在、中野区がまちづくり中野21の株式を100%保有している。つまり、中野サンプラザの実質的なオーナーは中野区であり、中野区長が建て替えなどの方針に大きな影響力を持つのである。
関連記事
- 50年経っても、なぜ霞が関ビルは存在しているのか
日本で初めて高さ100メートルを超えた高層ビル「霞が関ビルディング」が、完成して半世紀を迎えた。古くなった建物は壊すケースが多いのに、なぜ霞が関ビルは一度も建て替えてこなかったのか。三井不動産の担当者にその理由を聞いたところ……。 - ホテル事業の経験がなかったのに、「TRUNK(HOTEL)」好調の秘密
渋谷駅から徒歩10分ほどのところにある「TRUNK(HOTEL)」をご存じだろうか。ウェディング事業などを手掛けるテイクアンドギヴ・ニーズが2017年5月にオープンしたところ、「オレも泊まりたい」「ワタシも泊まりたい」という声が殺到しているという。その理由に迫ったところ……。 - なぜ伊藤忠は18年ぶりに「独身寮」を復活させたのか
伊藤忠が18年ぶりに「独身寮」を復活させた。業績低迷を受けて、2000年に社有の寮を売却したのに、なぜこのタイミングで建てたのか。建物は7階建てで、部屋は361室。国内最大級の寮のナカはどうなっているのかというと……。 - 音は大丈夫? 日本初、高架下「8畳ホテル」に潜入した
欧米で「タイニーハウス」が話題になっている。「モノはできるだけ所有しない」「住まいもコンパクトに」という生活が広がっていて、移動可能な小さな家で暮らす人が増えているのだ。こうした背景もあって、日本で「タイニーハウスホステル」が登場。どんなところなのか取材したところ……。 - 6畳弱の狭い物件に、住みたい人が殺到している理由
6畳弱の狭い物件が人気を集めていることをご存じだろうか。物件名は「QUQURI(ククリ)」。運営をしているピリタスの社長に、その理由を聞いたところ……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.