“めんどくさい女性”が働き方改革の救世主? 「ババア活用」のススメ:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(3/5 ページ)
働き方改革を実感していない人が多いのは、「人生の邪魔をしない職場づくり」ができていないから。どうすればいいのでしょうか? 「細かい、おせっかい、空気を読まない面倒くさい人=ババア」が救世主になるのです。
育休復帰の女性を昇進させたワケ
実際、ある企業のトップは育休から復帰した女性を「マネジャー(課長職)」に昇進させていました。
社長さんいわく、「マネジャーに必要なのは部下を動かすこと。育児経験者にはそれができる。仕事なんてものは周りに教わりながら半年くらいかけて学んでいけばいいんです」と。
これぞ「ババア活用」、いやいや「女性活用」。周りの社員から面倒くさがられがちな「ワーキングマザー」の力を最大限に活用していたのです。
さらに、女性たちは人のうわさ話が大好物ですが、ナレッジマネジメント(情報共有)の重要性を説いた米国のコンサルタント、コーエンは、「ゴシップ(=うわさ話)とは所属することそのものだ」と説き、「うわさ話の効用」を支持しました。
他人のゴシップを聞くことは、「集団内で暗黙裏に共有されている価値観や行動について学ぶ手段」です。明文化されていないルールを知ることは、上司部下関係を良好にするのに役立ちます。うわさ話が人間関係の潤滑油にもなってくれるのです。
また、互いに知っている人についてのゴシップをやりとりすることは、組織の一員だけに許される行為です。ゴシップを話せるような空間にいることは自分が組織の一員である証。その場で話題に加わっていることは自分が組織の一員であると他のメンバーから認められたことを意味し、帰属意識も高まります。
もちろん愚痴やゴシップが、時には人を傷つけたり、間違った認識を与える側面もありますが、そこには隠されている一部の真理も存在するのです。
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