「香り付け」は逆効果? かんきつ系のにおいはオレンジ色を“覚えにくく”する:九州大学が発見(1/2 ページ)
九州大学の研究グループが「かんきつ系の果物に含まれるにおいがオレンジ色を覚えにくくする」効果があることを発見。安易ににおいをつけた広告は、逆効果になるかもしれない。
ミカン味の新商品をPRするために、販促物にかんきつ系の香りを使おう。嗅覚と結び付くことで商品を覚えてくれるかも……。
良さそうなアイデアだが、もしかしたら香りによる効果はないかもしれない。九州大学基幹教育院の研究グループが9月14日、「かんきつ系の果物に含まれるにおいがオレンジ色を覚えにくくする」効果があることを発見したと発表した。
研究グループは実験前、「かんきつ系のにおいはオレンジ色に対する記憶を高める」と仮説を立てていたという。反対の結果となったことで、「安易ににおいをつけた広告は、逆効果になるかもしれません」とコメント。どういうことだろうか。実験の詳細を聞いた。
色に対する「短期記憶」を実験
この発見は、色に対する「短期記憶」の実験によって明らかになった。かんきつ系の果物に含まれる「デカナール」というにおい物質を使用し、このにおいがある環境と無臭の環境の2つの条件で、実験参加者にオレンジ、ピンク、グリーン、ブルーの短期記憶課題を出した。
短期記憶は、短い時間に瞬間的に覚える記憶で、意識しないとすぐに忘れてしまう。覚えてからすぐにテストすれば、対象に集中していたかどうか分かる。
実験では、オレンジ、ピンク、グリーン、ブルーの色をそれぞれ20色ずつ用意。その中から1色ずつをランダムに選び、計4色を1つの画面に一瞬だけ映し出す。その後、「画面の右上にあった色はどのような色ですか」などと質問する。参加者は、色のサンプルの中から同じだと思う色を選ぶ。画面に表示された色とどれくらい近い色を選べるか、計測した。
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