野焼きは「違法」か 農地とニュータウン混在の自治体の悩み:苦情殺到(1/4 ページ)
農家が稲わらや刈り取った草を屋外で焼く「野焼き」。病害虫駆除の役割などを果たすとして古くから行われてきたが、平成13年改正の廃棄物処理法で「農業を営む上でやむを得ない場合」を除き、全面禁止になっている。ところが……
農家が稲わらや刈り取った草を屋外で焼く「野焼き」。病害虫駆除の役割などを果たすとして古くから行われてきたが、平成13年改正の廃棄物処理法で「農業を営む上でやむを得ない場合」を除き、全面禁止になっている。ところが、ニュータウンなど農地と人口密集地が近接する地域では近年、野焼きに対し「臭い」「煙たい」などの苦情や、火事と間違われて通報されるなどのトラブルが急増している。自治体側も野焼きのガイドラインを策定したり、相談ダイヤルを設置するなど対策に乗り出したが、全面禁止にすることは難しく、根本的な解決策は見つからないままだ。(中川三緒)
人口急増に合わせ苦情殺到
兵庫県南東部に位置する三田市。かつてはおだやかな農村地帯で、昭和33年の市制施行当時の人口は約3万2千人だったが、50年代から大規模なニュータウンが開発され、60年まで3万人台で推移していた人口は平成2年に6万人、8年には10万人を突破した。人口増加率が昭和62年から10年連続で日本一となるほどで、現在も人口の約半数がニュータウンに居住する。 宅地開発が進む一方、古くからの農地も残ったが、近年、市街地と農地の境界付近で野焼きへの苦情が増加している。
市環境衛生課によると、野焼きへの苦情は平成28年度で33件、29年度で62件だったが、30年度は7月末時点で114件と急増している。
警察への通報も増え、兵庫県警三田署が対応を強化している。同署は「草はクリーンセンターなどで処分できる。農家の野焼きとはいえ、個別で適法かどうか判断する」として、煙やにおいなどに対する通報を受けると、農家へ出向き指導。違法の疑いがあると判断すれば事情聴取なども行っている。
関連記事
- 「なぜ売れるか分からない」 ドンキ化したファミマの人気商品に幹部が困惑
ドン・キホーテのノウハウを取り入れた共同実験店が6月にオープンした。店舗の売れ筋商品を分析したところ、ある商品が上位に食い込んだ。ファミマの幹部は「なぜ売れるのか分からない」と原因を分析しきれていない。 - 「アイコス」「グロー」「プルーム・テック」は何円に? 10月に値上げするたばこ銘柄まとめ
10月からたばこ税が増税となる。たばこメーカー各社は、紙巻きたばこ・加熱式たばこなどの各商品を10月1日から値上げする。各社が値上げする銘柄をまとめた。 - 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - 日本人が「ある程度の暴力は必要」と考える、根本的な原因
全国で「暴力指導」が次々と明るみとなっている。会社、学校、クラブ、家など、あらゆるところで暴力指導が日常的に行われているわけだが、なぜ日本人は「ある程度の暴力は必要」と考えるのか。その思想には根深い問題があって……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.