野焼きは「違法」か 農地とニュータウン混在の自治体の悩み:苦情殺到(2/4 ページ)
農家が稲わらや刈り取った草を屋外で焼く「野焼き」。病害虫駆除の役割などを果たすとして古くから行われてきたが、平成13年改正の廃棄物処理法で「農業を営む上でやむを得ない場合」を除き、全面禁止になっている。ところが……
遅れ目立つ市の対応に痛烈批判
ただ、市はこれまで「野焼きは違法ではない」との立場をとっていた。昨年9月の市議会本会議でも、森哲男市長は「農業者が行う稲わらなどの焼却は廃棄物処理法の例外にあたり適法である」と答弁。警察が取り締まりを視野に入れる一方で市が野焼きを認めたことから、混乱が生じた。
今年1月には市民からの申し立てを受け、市の第三者機関「オンブズパーソン」が野焼きを巡る市の対応について調査を開始。5月に調査結果通知書を森市長に提出した。そこで、オンブズパーソンの曽和俊文・関西学院大教授は「周囲一面が田畑の地域では野焼きは『お互いさま』。都会では、ほとんどない。三田市のように農地があり、住宅都市でもある地域に立ち現れる避けることのできない問題だ」と指摘する。
曽和教授は市の対応について、「苦情に正面から向き合っていない。現状を把握せず、問題解決の具体策を検討しなかった」と痛烈に批判。その上で「野焼きに関するガイドラインをつくったり、届け出制を導入したりするなど、市には問題が起こらないような積極的なシステムづくりをしてほしい」と訴えた。
このような指摘を受け、市はようやく8月から野焼き専用ダイヤルを設置。土、日曜日と祝日を含めて環境衛生課の職員が対応にあたる態勢を整えた。ガイドラインも作成し、「原則禁止」とした上で、やむを得ず野焼きする場合でも夜間や11月からの2カ月間を自粛期間とした。周辺住民に影響しないよう風向きに配慮することも明記。自走式草刈り機の導入など、野焼きを減少させる取り組み例も盛り込んだが、画期的な解決策を提示するまでには至っていない。
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