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野焼きは「違法」か 農地とニュータウン混在の自治体の悩み:苦情殺到(3/4 ページ)
農家が稲わらや刈り取った草を屋外で焼く「野焼き」。病害虫駆除の役割などを果たすとして古くから行われてきたが、平成13年改正の廃棄物処理法で「農業を営む上でやむを得ない場合」を除き、全面禁止になっている。ところが……
解決策ないまま野焼きの季節に
全国の農産地ではどのような対策が取られているのか。総務省の公害苦情調査によると、平成28年度に全国の地方公共団体に寄せられた苦情7万47件のうち、野焼きが原因の苦情は1万2576件(約18%)と最も多く、野焼きは全国的な問題といえる。
農業が盛んな新潟県では、5年に独自に「県稲わら等適正処理に関する指導要綱」を制定し、土壌保全のためにも刈り取った稲わらを細かくして土に混ぜ込む「すき込み」という方法を推奨した。県農産園芸課によると、14年からは稲わらのすき込み率は90%以上で推移しており、現在は県への野焼きに対する苦情はほとんどないという。
また、富山県射水(いみず)市では23年から「もみ殻循環プロジェクト」を開始した。プロジェクトでは、米の収穫時に大量に排出される「もみ殻」を温度を調節しながら燃焼。燃やした熱は冬場のイチゴ栽培用のビニールハウスの暖房に活用したり、焼却灰は肥料として再利用したりする。26年には焼却法などについて特許を取得し、今年5月には専用の焼却炉も完成。年間約300トンのもみ殻焼却が可能になり、今秋から実用化が始まる。
JAいみず野(同市)の担当者は「個人用の炉の開発も進めている。廃棄物として処理されることが多かったもみ殻が有効活用できるので、他市からの視察も多い。全国に広がってほしい」と期待する。
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