ナレッジワーカーの生産性はなぜ上がらないのか:頼りになる人(3/4 ページ)
肉体労働者の生産性は画期的に高まったと言われているが、現在の大半のビジネスマンである、ナレッジワーカーの生産性はどうなっているのだろう?
人はもともと安定を求める
組織と人は同じようで違う。組織としては、必ずイノベーションや変化が望まれる。組織として同じことばかり繰り返していても、成長がないどころか、衰退してしまうからだ。安定した収益を得続けるためには、常に改善し、新しいことをやり続ける必要があり、そうしないと市場で生き残ることはできない。
ところが、人は安定を求める。ほとんどの人が変化など望んでいない。つらいし、しんどいからだ。実は大半のビジネス・パーソンが同じことを繰り返して安定したいと願っている。
それでも、「このままではだめだ、変えなければならない」と考える主体性を持った人がまれにいる。「こういうコンセプトを持った商品(ソリューション)をつくりたい。このソリューションを販売するには、この販路がいいと思うから、この業界の販路さえ開拓できれば相当いけるはずだ」などと、大きなチャレンジをしようとする。
そうした案は総論では賛成される。組織にとって必要なことだからだ。しかし実際に行動に移されることはまずない。多くの場合、その業界のことなど誰も知らず、販路については想像すらつかない、といったことが起こる。あるいは、「でもこれまでの古いお客様はどうするんだ?」「〇〇が黙っちゃいないだろう」などという人たちが出現する。
「創業者精神とイノベーションマインドを持って」とは、多くの経営者が語る言葉だが、そんなことが本当にできていれば、何も問題はない。
多くの組織がブレークスルーできずに、今の状態に甘んじてしまうのは、結局、それまでの慣習やプロセスを破りたくないからであり、そこに上下関係を含んだ人間関係がからむとなおさらだ。現在の人間関係を壊してまで、組織の中で新しいことを始めようとは誰も思わないものだ。
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