元阪神タイガース投手の公認会計士が「アスリートの人生設計」を本気で手伝う理由:「自分には競技しかない」は本当か(1/4 ページ)
アスリートデュアルキャリア推進機構(ADCPA)の奥村武博代表理事が、9月20日に会見を開催し、今後の戦略を発表した。同機構はスポーツ選手のキャリア形成を支援している。これからどのようなことに取り組んでいくのだろうか。
「『スポーツだけしていればいい』という感覚で現役時代を送ると、アスリートは引退後の人生設計に問題を抱えてしまう。良い『第2の人生』を送るためには、早期からキャリアについて考えておくべきだ」――。
プロスポーツ選手のキャリア形成を支援している、一般社団法人 アスリートデュアルキャリア推進機構(ADCPA)の奥村武博代表理事は、9月20日に開いた会見でこう強調した。
奥村氏は、1998年にドラフト6位でプロ野球・阪神タイガースに投手として入団したが、けがの影響で活躍の機会に恵まれず、2001年に戦力外通告を受け引退。打撃投手を経て一般企業に就職し、13年に公認会計士試験に合格した経歴を持つ。
現在は都内の税理士法人や監査法人で業務を行うとともに、2017年10月に設立したADCPAの活動に注力している。今回の会見で奥村氏は、アスリートを支援する理由を説明した上で、活動をさらに強化すると発表。同機構の今後の戦略を述べた。
競技生活は人生の一部
奥村氏によると、野球やサッカーといった主要スポーツの国内市場規模は、過去20年でほぼ横ばい。ファンの数や競技人口も緩やかに減少しているという。
その一因について、奥村氏は「引退した選手が(セカンドキャリアで成功できずに)トラブルを起こすケースや、投資などに失敗したと報じられるケースが増えており、競技のイメージダウンにつながっていることが挙げられる」と指摘する。
そのため「プロ選手になるとつぶしが利かない」「引退後に食べていけない」との不安感が広がり、優秀な若手が進路に迷う事態も起きている。
こうした事態を防ぎ、スポーツ界を発展させるためには、現役時代から引退後を見据えて準備を進めておく必要があると奥村氏は説く。
「プロ選手は、競技生活を人生の一部と捉えるべき。現役時代から他分野の知識を学んでおくと、引退後の進路選択の幅が広がることを知ってほしい」(奥村氏)
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