ザ・謝罪社会で、私たちはどのように謝ればいいのか:常見陽平のサラリーマン研究所(3/4 ページ)
日本は「ザ・謝罪社会」である。仕事上のちょっとしたミスでも謝罪しなければいけないが、どのように謝れば先方の怒りは静まるのだろうか。筆者の常見陽平氏のよると……。
謝罪会見でウォッチするポイント
ところで、謝罪会見について、触れておきたいことがある。ご存じの方も多いかと思うが、この手の謝罪に関しては裏にコンサルタントが付いている場合があるのだ。明らかに会見がこなれていると感じたことはないだろうか。
この「謝罪広報コンサルティング」にはいくつかのサービスがある。一つは研修だ。座学のものもあれば、実技トレーニングもある。筆者も広報担当をしていたころに、座学を受講したことがある。大変に勉強になった。仕事やプライベートで謝る際の参考にもなった。ちょうど14年くらい前に受講したのだが、雪印乳業の食中毒事件、みずほフィナンシャルグループのシステムトラブルなど、さまざまな具体的な事例をもとに、謝罪対応のどこがまずかったのかを学ぶ実践的なものだった。
謝罪会見トレーニングは、実際に企業で不祥事が起きたときのことをシミュレーションし、謝罪会見の練習をするというものだ。言葉遣い、表情、視線などから、記者に突っ込まれた場合の切り返しなども練習する。
あまり考えたくないが、実際に不祥事が起こってしまった後に、どのように記者会見をするのか、サポートするコンサルタントもいる。だから、謝罪会見はこなれたものが存在するのである。
経営陣や広報担当者でない限り、普通のビジネスパーソンでこの手の研修を受ける機会はまずないだろう。ただ、その英知の結晶である謝罪会見は参考にすべきではないか。どうやったら人は納得するのか、言うべき内容から、立ち居振る舞いまで参考にしてみよう。
例えば、バスケットボール日本代表の買春問題だ(余談だが、あるラジオ局の女性ディレクターから「バスケット“回春”問題」と書かれたメールが届いて、意味が違うだろうと脱力してしまった)。バスケットボールの日本代表が、パッと見てすぐに分かる服装で買春するのは、道義上は許されるものではないし、当該の国で法律的にもアウトの可能性が高いという。ただ、早急に会見を開いたことと、不適切な行動を行った4人の選手が謝罪したことと、重い処分の方向を示したこともあって、「そこまで謝らせなくても……」という声があがった。
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