米小売大手Walmart、野菜などの管理にブロックチェーン導入へ 大腸菌対策で:供給経路をすぐに把握
米小売大手Walmartが、レタスなどの供給業者に対し、野菜の取り扱い状況をブロックチェーン上で管理することを求めた。ブロックチェーン上で保管状況などの情報を管理することで、食の安全の向上を図る狙い。
米小売大手Walmartは9月24日、レタスなどの野菜を供給する業者に対し、「野菜の取引情報をブロックチェーンで管理する取り組みに協力してほしい」と書面で呼び掛けたことを明らかにした。紙ベースでの管理に要する手間の削減と、食品の安全性向上が狙いで、Walmartと米IBMが構築予定のシステムを業者に開放する予定。
システムの実装時期は2019年9月を予定する。同社傘下のSam's Clubに供給する野菜もブロックチェーンで管理することを求めている。
Walmartによると、ブロックチェーン上で商品を管理することで、供給経路をすぐに把握可能になるほか、供給体制の柔軟な変更を実現できるという。
例えば、野菜から食中毒の原因となる菌が検出された場合などに、感染した供給業者を特定し、供給をストップする作業を数分で実行できるため、従来は数日かかっていた業務を大幅に短縮できるとしている。
食品安全の責任者を務めるフランク・イアナス氏は「紙ベースでの管理では、野菜が生産された場所を確認するだけに7日を要する。供給業者に連絡を取り、記録用紙を取り寄せ、その情報を頼りに農家に連絡を取るというプロセスが必要だった」と現状を説明する。
今年に入り米国では、ロメインレタスが原因とみられる大腸菌感染が拡大。米CNBCによると200人以上が感染して、多くの業者が大量のレタスを廃棄する事態に追い込まれた。さらに、卵やシリアルからサルモネラ菌が見つかるなど、米国人の食に対する不信感が高まっている。
関連記事
- Facebook、ブロックチェーン事業に本腰か 本部が人材募集
米Facebookがブロックチェーン技術の開発に本格的に動き出したようだ。シリコンバレーにある本部がブロックチェーン事業における「事業開発・業務提携部門の部長」を募集すると発表し、注目を集めている。だが今後の具体的な計画は明かされないままだ。 - 韓国政府、ICOの取り締まり強化か ブロックチェーン企業の非開示情報を収集
韓国の金融監督当局がICOに関する捜査の一環として、国内のブロックチェーン(分散型取引台帳)関連企業に接触を図っている。もし仮想通貨の発行において規制を破っていると見なされれば、企業はの制裁を受けることになるという。 - ドンキ創業者が自伝に記した「金銭欲と名誉欲」
ドンキの創業者はたった一代で巨大なチェーンを築いたが、その原動力はどこにあるのか。“きれいごと”抜きの感情を素直に吐露した自伝から読み解いていく。 - ウォルマートの日本撤退から東京一極集中を批判する
米ウォルマートが西友を売却し、日本から撤退するという報道が話題を呼んでいる。長年伸び悩んだ西友をよくここまで我慢していたというのが素直な感想だ。そもそも西友が衰退した理由とは……。 - フィスコ、グループ企業の仮想通貨交換所は「Zaifと無関係で安全」と強調
フィスコの出資先であるテックビューロの「Zaif」から仮想通貨の流出が発生した。これを受けてフィスコは、「グループ企業が運営する取引所は本件とは無関係で安全」との声明文を発表した。9月12日に分離していたという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.