上場以来の最高益なのに評価はイマイチ? マクドナルドの事例で学ぶ株価の謎:超初心者のための株講座(1/4 ページ)
2001年に上場して以来の最高益となった日本マクドナルドホールディングスだが、足元の株価は好調とはいえない。知っているようで知らない株価の仕組みを分かりやすく解説する。
2014〜15年に起こった鶏肉の偽装問題や異物混入問題などの影響で、一時は消費者の信用を失い、業績と客足が大きく落ち込んでしまったマクドナルド(日本マクドナルドホールディングス)ですが、その後は急激にV字回復をしました。そして、18年2月に発表された17年12月期決算(連結)では、純利益が01年の上場以来の最高益となり、完全復活ともいえるほどの躍進を見せています。
同社は、積極的な店舗改装をはじめ、時間帯や価格帯に合わせたメニューの見直し、キャンペーンやコラボ商品の投入を通して、消費者を飽きさせない工夫をしてきました。さらに、商品の原材料や栄養価を積極的に表示するといったイメージアップ戦略が奏功しました。個人的にも、キャンペーンや新商品に釣られてマクドナルドに足を運ぶ機会が増えたような気がします。
現在でも、既存店売上高(18年8月時点)が33カ月連続で増加するなど好調を維持しています。人件費や原材料費の高騰で伸び悩む外食産業全体においても、マクドナルドは勝ち組に入っている状況です。
業績が絶好調なのに株価は不調
では、株価の方はどうかというと、6月18日の取引時間中につけた6030円の高値をピークに上昇が一服。その後は4000円台後半まで下落してのもみ合いが続き、株価水準が一段切り下がる形となっていて、こちらはあまり好調とはいえません。好調なビジネス環境を踏まえて普通に考えれば「もう少し株価が上昇しても良いのでは?」と思われる方も少なくないのかもしれません。
一般的に、株価は企業の価値を表しているとされていますが、その企業の価値は大きく2つに分かれます。1つ目は企業が保有している「資産」の価値、そしてもう1つは企業の「稼ぐ力」の価値です。株式投資で重要視されるのはどちらかというと、後者の稼ぐ力になります。「これからもさらに利益を稼げそうだ」と多くの投資家が判断すれば、株価が上がっていくと考えられるからです。つまり、稼ぐ力の価値には将来の期待値が含まれています。
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