金融庁、スルガ銀に行政処分 6カ月間の一部業務停止命令:改ざんに積極的に関与した行員も
金融庁は10月5日、スルガ銀行に対する行政処分を実施。新規の投資用不動産融資の取り扱いを6カ月間停止した。業務改善命令も出し、進捗(しんちょく)状況を3カ月ごとに報告するよう命じた。
金融庁は10月5日、スルガ銀行に対し、シェアハウス向け融資やその他の投資用不動産融資などに関する不正行為を行ったとして、新規の投資用不動産向け融資を2019年10月12日〜20年4月12日の6カ月間停止するよう命じた。
同業務の停止期間は行員の研修に専念し、融資業務や法令順守に関する意識向上を徹底するよう求めている。
同行は不動産融資案件の融資審査を有利に進めるため、債務者の預金残高を改ざんしていたほか、不動産関連業者と結託して不動産賃料・入居率などのデータも不正に操作していた。中には、不動産関連業者に対してデータ改ざんをするよう積極的に働きかける行員もいたという。
また、営業部門の本部長らが会合で妥当と判断したシェアハウス向け融資は99%が承認されるなど、融資審査が形骸化していた実態も明らかになっていた。
信用リスク管理が不十分だったと判断した金融庁は、同行に業務改善命令も出し、融資審査管理や内部監査などの態勢を確立するよう命じた。改善計画の提出は11月末までに行い、その後は改善計画が完了するまで3カ月ごとに進捗(しんちょく)状況を報告するよう求めた。
金融庁はスルガ銀行の体制について、「創業家が実質的な指導権を握る中で、営業現場に過度な業績ノルマが課せられた結果、法令順守を軽視するような環境が醸成されたことなどが不正行為の拡大につながった」「取締役会が監督機能を果たせていなかった経営管理体制にも(不正の)一因がある」などと指摘している。
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