ソーシャルレンディングの不正問題に出資者はどう対峙すべきか?:“いま”が分かるビジネス塾(1/3 ページ)
ソーシャルレンディング最大手のmaneoマーケットで、融資先企業による資金不正流用問題が発生した。融資業務である以上、こうした不正が起きるリスクを100%回避することはできないが、出資者はどのような点に注意すればよいのだろうか?
ソーシャルレンディング最大手のmaneoマーケットで、融資先企業による資金不正流用問題が発生した。
ソーシャルレンディングはインターネットを使って、資金を貸したい個人と借りたい企業をマッチングするビジネスで、このところ市場が急拡大している。融資業務である以上、こうした不正が起きるリスクを100%回避することはできないが、出資者はどのような点に注意すればよいのだろうか。
不特定多数の貸し手と借り手を結び付ける
証券取引等監視委員会は7月6日、maneoマーケットについて、行政処分を実施するよう金融庁に勧告した。融資を受けた企業が、資金を対象業務以外に流用しており、maneo側はこれを十分に把握できていなかった。投資家に示していた本来の資金使途とは実態が異なるため、虚偽表示に該当するという。
これまで企業に対する融資は、銀行や事業者ローンの独壇場となっていた。ソーシャルレンディングは、資金を必要としている企業にお金を融通するという部分では銀行や事業者ローンと同じだが、最大の違いは貸し手が不特定多数である点だ。
maneoでは、いくつかの融資案件を取りまとめたファンドを組成しており、お金を貸したい個人はこのファンドに出資する形を取る。期間が満了するとファンドから元本と利子が返済される(利子は毎月支払われるケースが多い)。たいていの案件が3万円といった少額からの投資が可能であり、金利は10%を超えるケースもある。小口でお金を出資し、高い利回りが得られるということで、一部の個人投資家の間ではちょっとした話題となっていた。
同社の場合、不動産事業者の物件取得費用や分譲住宅の建設費用、飲食店フランチャイズなど、範囲を限定してローンのファンドを組成している。実際にリストに並んでいる案件を見ると、不動産関連のローンの割合が高い。
今回、不正流用が発覚したのは、太陽光発電事業やバイオマス発電事業への融資を行っているグリーンインフラレンディング(以下、グリーン社)への融資だ。具体的にはグリーン社がmaneoのファンドから融資を受け、グリーン社はさらに親会社にこの資金を融資して、発電事業などを実施するというスキームであった。利回りは非常に高く11%から12%の利率が設定されており、昨年12月末時点で、3084人から103億円の資金を集めていた。
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