新しく就任した大臣が「失言」を繰り返す、3つの理由:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
内閣改造の風物詩ともいうべき、「大臣の首を取りましょうキャンペーン」が本格化している。それにしても、なぜ新たに就任した大臣は「失言」を繰り返すのか。筆者の窪田氏の分析によると……。
経験不足によって脇の甘さを露呈
なぜこういう脇の甘いことになってしまうのかというと、経験不足から「文部科学省大臣・柴山昌彦」と「政治家・柴山昌彦」がごちゃ混ぜになってしまっているのだ。立場によって発言を変えるなんて二枚舌だと怒りに震える方も多いだろうが、事実として地雷を踏まない、踏んでも要職に就き続けている人は、この切り分けをちゃんとやっている。例えば、河野太郎外務大臣は、一国会議員の時は歯に衣着せぬダイナミックな発言を繰り返していたが、閣僚入りをした途端、無難な発言、個人としての見解にオブラートに包んだ。
良い悪いではなく、失言が国家のリスクに直結する「大臣」というのは、そういう立ち振る舞いが求められるのだ。
このようにフワフワして、立場の違いを知らない政治家は往々にして、記者が「失言・問題発言をさせる」ために放つゴリゴリに意図を持った質問をさっとかわす方法を知らず大炎上してしまう。これが(3)の「誘導質問の罠にハマってしまう」ということだ。
立派なジャーナリストがそんな「誘導」とかするわけがない、という人もたくさんいらっしゃると思うので、分かりやすいやりとりを、今回、新たに入閣をした岩屋毅防衛相の就任会見から引用しよう。
記者: 大臣は日中戦争から太平洋戦争に至る戦争は侵略戦争だとお考えでしょうか。
大臣: いわゆる歴史認識ですけれども、先に安倍総理が新たな談話を発表されたものに集約されていると考えております。
記者: 大臣の言葉で聞かせてください。侵略戦争と考えますか、考えませんか。
大臣: まさに安倍談話に私は集約されていると思いますし、私自身も談話の中身というものに当時非常に共感・共鳴をしましたので、まさにそこに集約されていると思います。
記者: 侵略戦争だと考えますか、考えませんか、御自身の言葉で語ってください。
大臣: 私が独自の見解を述べる立場にはないと思っております。
記者: これだけの大きな軍事組織を監督される立場になられたわけですから、侵略戦争について語られないというのはおかしいのではないですか。
大臣: したがって、先ほどから申し上げておりますように、安倍総理の談話を私も支持しております。
記者: 御自身の言葉で語っていただけないですか。
大臣: これが自分の言葉だと思いますが。
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