新入社員の離職防止に効果あり? 串カツ田中“新人だらけの店舗”に行ってみた:どんな指導をしているの?(2/5 ページ)
新入社員の定着率UPが課題だった串カツ田中は、正式配属前の新入社員を集める“実験店”をオープンした。効率的にスキルを習得させたり、同期意識を醸成したりするのが目的だが、どのように運営されているのだろうか。
午後1時に出社して終電までに帰宅する
研修センター店の概要を説明しよう。同店には新人を指導する先輩社員として、研修センター長、店長、副店長の3人が在籍している。串カツ田中では通年採用を実施しているので、毎月1〜2回新入社員がこの店舗に送り込まれる。新入社員は約1カ月間働きながら必要なスキルを習得する。研修センター店には5人程度の新人が在籍している。
1日の基本的な流れはこうだ。研修センター店のメンバーは午後1時に出勤し、前日の業務内容を振り返る。新入社員が今後の課題などを順番に発表し、研修センター長や店長がコメントする。その後、午後4時の開店に向けて仕込み作業を行う。営業時間は午後4時〜午後11時となっており、終電の時間までに全員が帰宅する。これまで、50人近くが同店を“卒業”した。
研修センター店では通常店舗とほぼ同じ商品を提供しているが、「未熟なスタッフばかりで営業するのでご迷惑をおかけしてしまうこともある」(広報担当者)という理由から、ビールを含むドリンクを216円(税込、以下同)で提供している(一部商品除く)。
串カツの出来が悪かったら作り直し
新入社員は主にフロア業務とドリンク・一品料理・串カツのつくり方を学ぶ。最も難しいのは串カツを揚げる方法を習得することだ。研修センター長の石川一希さん(29歳)は「お客さまからの注文を受けてから、迅速に商品を提供しないといけません。ただ、スピードが速いだけではダメで、『生地づけ』のクオリティーが求められます。均一に生地をつけないと、見栄えが悪くなったり、食感が変わったりします」と説明する。
串カツが出来上がったら、お客に提供する前に指導者が必ずチェックする。仮に、出来の悪いものが混ざっていたら、その分は作り直させる。「オーダーされたお客さまには事情を説明し、待っていただきます。この店舗には地元の方も多く通っており、(未熟な社員を)応援してくださっています」(石川さん)。
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