新入社員の離職防止に効果あり? 串カツ田中“新人だらけの店舗”に行ってみた:どんな指導をしているの?(3/5 ページ)
新入社員の定着率UPが課題だった串カツ田中は、正式配属前の新入社員を集める“実験店”をオープンした。効率的にスキルを習得させたり、同期意識を醸成したりするのが目的だが、どのように運営されているのだろうか。
同期意識を醸成する
研修センター店をつくったもう1つの目的は、新入社員を1つの場所に集めて業務経験を積ませることで、同期意識を醸成し、相談しやすい環境をつくることにある。
これまで、串カツ田中の新入社員は本社で3日間の研修を受けたのち、全国の店舗に配属され、そこで指導を受けてきた。しかし、たった3日の研修では横のつながりが生まれにくく、配属先の店舗でも孤立しがちだったという。
研修センター長は、新入社員が店舗に配属されたあとも定期的にフォローしている。例えば、社内SNSを通じて「困っていることはないか?」と声をかけている。先輩社員から声をかけることで、「実は、こんなことで困っています」という悩みを引き出そうとしている。
さらに、石川さんはエリアマネジャーにもヒアリングする。自分の目は届かないが、新入社員に普段接している他の社員の目を通して、問題を抱えていないかどうかを複合的にチェックする体制を構築しているのだ。
新人が抱える悩み
新入社員はどんな悩みを抱えているのか。石川さんは「ベテランのアルバイト従業員との接し方が分からないケースが多い」と説明する。
一般的なケースだが、串カツ田中の店舗は、店長1人、新人1人、そして数人のバイトで運営されている。同社のマニュアルを守らずに“自己流”の働き方をしているバイトがいた場合、どのように注意すればよいか、新人は迷ってしまうのだという。しかも、オペレーションの面で新人より優れている場合、なおさら指摘しにくくなる。こういったケースではどう指導すればいいのか。
「頭ごなしに注意するのではなく、『何のためにマニュアルがあるのか』を説明してはどうか? とアドバイスします。また、相手の性格に応じて、接し方を変えるべきだとも伝えます。例えば、プライドの高い人の場合、その場で注意してルールを守らせようとするのではなく、『こういったやり方のほうが、お客さまが喜んでくれると思うよ』と伝え、(バイトのやり方が自然に変わるように)誘導していくと効果的です」(石川さん)
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