新入社員の離職防止に効果あり? 串カツ田中“新人だらけの店舗”に行ってみた:どんな指導をしているの?(4/5 ページ)
新入社員の定着率UPが課題だった串カツ田中は、正式配属前の新入社員を集める“実験店”をオープンした。効率的にスキルを習得させたり、同期意識を醸成したりするのが目的だが、どのように運営されているのだろうか。
新人はどう考えているのか
実際に、研修センター店で働く新入社員に話を聞いてみた。床井静流(しずる)さん(23)は、9月5日に第2新卒として入社し、研修センター店には9月10日に配属された。取材をした9月26日の時点では、研修期間が半分過ぎたところだった。
床井さんは父親が自営業だったこともあり、店舗運営や経営の仕方を学びたいと考えていた。串カツ田中では新人のときからさまざまなことに挑戦できると聞き、応募したという。
「同期と仲間意識をもって働けたり、アットホーム感があったりするのがありがたいです。覚えなければいけない業務内容は多いですし、忙しすぎてミスをしてしまうこともありますが、仕事のオンとオフの切り替えができるところもいいですね」(床井さん)
かつて、記者は第2新卒の転職状況について詳しい関係者から「最近の学生は、仕事を大学のサークル活動の延長線上として捉えているケースが多い」と説明されたことがある。社会人として働くというリアルな姿が想像できないまま、就職活動に突入し、入社後のギャップに苦しむケースが多いという。
この指摘が正しいとするならば、シビアな環境に新入社員を突然放り込むのではなく、研修センター店という“クッション”を途中に挟むことは、離職率低下という点で有効な試みのように感じられた。
串カツ田中の取り組みが成果を出すかどうかは、その後の離職率を分析しないと分からない。ただ、少なくとも新入社員は「自分が会社から大切にされている」という意識を抱いているようだった。
関連記事
- 「全面禁煙化」から1カ月 串カツ田中が得たもの、失ったもの
串カツ田中が全面禁煙化に踏み切ってから1カ月がたった。客層や売り上げにはどんな変化があったのか。運営元の串カツ田中ホールディングスが報告書を公開し、成果と課題点を明らかにした。 - 回転すしの厨房はどうなっている? くら寿司で働く若きリーダーに見せてもらった
大手回転すしチェーンは安くてうまいすしを迅速に提供することで成長を続けてきたが、そのビジネスを支える厨房はどのようになっているのだろうか。くら寿司の新店オープンを次々と手掛ける若きリーダーに話を聞いた。 - 南極に挑む冒険家・阿部雅龍さん 命がけで「独りの自由」を貫く訳
冒険家・阿部雅龍さんが11月、南極の単独踏破に挑む。時には営業マン張りのPR力やスピーチで約1250万円の費用集めに奔走。資金集めも冒険もあくまで行い1人で自由と責任を抱える。 - 業界3位に躍進した「日乃屋カレー」 リピーターを生む味の原点は“昭和の町中華”
2011年に創業した日乃屋カレーが店舗数を増やし、業界3位に躍進した。家庭的な“ジャパニーズカレー”で、甘辛い味が特徴。急成長の秘密とは? - 「大阪王将」に後れを取っていた「餃子の王将」の業績が復活したワケ
「餃子の王将」を運営する王将フードサービスが復活しつつある。女性向けの新業態店や安価で量を減らしたメニュー開発が奏功したが、本質的な理由はほかにもあるという。どのような戦略を打ち出しているのだろうか。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.