「そうだ 京都、行こう。」はなぜ25年も続き、これからも続いていくのか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(1/4 ページ)
JR東海のキャンペーン「そうだ 京都、行こう。」が25周年を迎えた。なぜこのキャンペーンは始まり、今も続いているのか。京都がJR東海にとって重要だから、というだけではない。新たな目的もありそうだ。
JR東海のキャンペーンCM「そうだ 京都、行こう。」シリーズが25周年を迎えた。いまや誰もが知っている国民的CMの一つだ。今シーズンで一つの節目を迎え、俳優の長塚京三氏によるナレーションは終了するという。
なぜ「そうだ 京都、行こう。」シリーズは始まり、続いているか。JR東海にとって京都は最重要の観光コンテンツだからだ。そしていま、新たな目的もある。
「そうだ 京都、行こう。」キャンペーンのCMは一つのスジが通っている。京都の名所を映しながら流れる、長塚氏の独白的でちょっとコミカルなナレーション。そして、BGMは『私のお気に入り』。この定型に合わせつつ、風景とナレーション、BGMのアレンジが変わる。締めの「そうだ 京都、行こう。」は、当初は長塚氏のナレーションだった。後に画面に大きく文字が配される形になった。25年目で長塚氏のナレーションが復活したという。
『私のお気に入り』は、劇場ミュージカル作品で映画にもなった『サウンド・オブ・ミュージック』のために作詞作曲された楽曲だ。映画は1965年に日本で初公開され、その後、テレビ各局が吹き替えて放送した。『ドレミの歌』とともに昭和生まれの人々の心に焼き付いている。「そうだ 京都、行こう。」のCMでは楽器のソロパートで始まる。どこかで聴いた曲だな……と記憶を探っていくうちに、オーケストラへと昇華して、心によみがえる映画の感動と京都の風景がシンクロする。まるで映画のモデルになったトラップ一家が京都を楽しんでいるかのように。
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