大型車(8トン以上のトラック、定員30人以上のバス)の車輪が脱落した事故のうち、8割以上が「左後輪」に集中していたことが国土交通省のまとめで分かった。また、冬用タイヤに交換する冬期に起きるケースが多いため、関係団体などを通じて注意を呼び掛ける。
2017年度に起きた大型車の車輪脱落事故は67件(うち人身事故2件)で、前年度から11件増加。原因はホイールのボルト、ナットの締め付け不良などの作業ミスが91%を占めた。
脱落したのは「左後輪」が56件(83%)と集中。「右後輪」の10件と比べ際立っている。同省は原因について、自動車メーカーなどの見解を聞きながら調査中とした上で、
(1)右折時は比較的高い速度のまま旋回し、遠心力で積み荷の荷重が左輪に大きく働く、
(2)左折時は、低速度だが左後輪がほとんど回転しない状態で旋回し、回転方向に対して垂直にタイヤがよじれるように力が働く、
(3)道路は中心部が高く作られている場合が多く、車両が左に傾き、左輪に大きな荷重がかかる──と推定している。
前輪は右が1件、左がゼロだった。「異常が発生した場合、ハンドルの振動などで運転手が気付きやすいため」とみている。
事故は37件(55.2%)が北海道など積雪地域で起き、11月〜3月に56件(84%)と、冬期に集中していた。冬用タイヤの交換がピークを迎えるのを前に、同省は大型車ユーザーらに注意を呼び掛けている。
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