「料金高すぎ」批判の背景にある、携帯キャリアが信頼されない要因:おとり広告、ノルマ重視の接客……(3/4 ページ)
「日本の携帯料金は高すぎる」という批判が政府や消費者から出ている。だが、他国と比較すると、必ずしも不当に高いとは言えないとの調査結果もある。ではなぜ、日本の携帯キャリアはここまで批判されるのか。野村総合研究所が調査結果を発表した。
おとり広告に消費者庁が動く?
料金面にとどまらず、キャリアの通信サービス自体に不信感を持つ人も27%いた。主な例は「新規獲得に注力し、既存顧客を大切にしていない」「料金プランをわざと複雑にし、最適なプランを選びにくくしている」「さまざまなオプションを申し込ませ、解約し忘れによる収益を狙っているのでは」などだ。
こうした印象を持つ理由は、「“2年縛り”などで他社に移りにくくしているため」(64%)、「端末の割引などを受ける際に、使う予定のないオプションを契約させられたため」(49%)、「当初自分が契約しようとした料金プランよりも高いものを契約させられたため」(17%)、「安価な料金プランをおとりにするCMを見てショップに行ったら、高いプランを契約させられたため」(11%)、「解約時にしつこく引き止められたため」(9%)――などだ。
CMやプランに対する不満が多い要因について、北氏は「キャリアは(サブブランドも含めて)『イチヨンパ』『イチキュッパ』など、最安値を連呼するCMを多く流しているが、実際にその金額で契約するには、2台持ちにしたり、家庭用の回線を契約したりと、5〜6個の条件をクリアしないといけない。安く使えるのは契約初年度だけで、2年目から値上がりするケースもある。そのため、CMの内容と違うとショップで腹を立てるお客も多い」と指摘。
公正取引委員会や総務省が問題視したため、キャリアは“縛り”の是正を進めているが、北氏によると、有利誤認を招くような広告を取り締まるために「消費者庁が動くかもしれないと(関係筋から)聞いている」とのことだ。
ショップの接客が悪いワケ
キャリアが運営するショップでは、スタッフが対話によって消費者のニーズを聞き出し、価格を抑えたプランや要望に応じたプランを提案することもできるはずだ。にもかかわらず、ショップの接客にも不満が出たのはなぜか。
この点について北氏は「キャリアがショップ運営を委託している代理店に対し、高額なプランが成約した場合にインセンティブを支払うなどのノルマ設定を課しているためだ」と分析している。こうした売り上げ重視の運営体制が、顧客のニーズと契約内容の乖離(かいり)につながっているのだ。
北氏によると、NTTドコモはショップの運営体制の是正に取り組んでいるという。そのため同氏は、ソフトバンクとKDDIに対し「結果だけをみるショップの評価指標を変えるべきだ」と呼び掛けた。
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