幸楽苑、業績上方修正で「疑義」解消 コスト削減など奏功し危機脱却か:1年で黒字転換へ
幸楽苑HDが19年3月期の通期連結業績を上方修正。純損益が、従来予想比4億6900万円増となる7億3900万円の黒字になる見込みという。味の変更やコスト削減が奏功し、上半期の業績が伸びたため。
ラーメンチェーン「幸楽苑」などを展開する幸楽苑ホールディングス(HD)は10月26日、2019年3月期通期の連結業績予想を上方修正し、純損益が従来予想比4億6900万円増となる7億3900万円の黒字になる見込みだと発表した。前期は32億2500万円の赤字だった。
売上高は8億9700万円増の393億4300万円(前期は385億7600万円)、営業損益は5億4500万円増の11億7500万円の黒字(前期は7200万円の赤字)を見込む。
これを受け、決算短信からは、企業が今後も事業を継続する上でリスクを抱えていることを示す「継続企業の前提に関する注記」が解消された。
同日発表した18年4〜9月期の連結業績が、売上高が202億2600万円(前年同期比3.1%増)、営業損益が9億9200万円の黒字(前年同期は1億8100万円の赤字)、純損益が7億3200万円の黒字(前年同期は6億4000万円の赤字)と大きく改善したことを踏まえた。
味の変更とマーケティング戦略の見直しなどが収益面、無料クーポン券の配布戦略の見直し、製造コストの低減、店舗の営業時間短縮、就労コントロールによる人件費削減などが利益面の改善に貢献した。
今後もこうした上半期の施策を継続するとともに、商品・サービス面の強化を続けることにより、通期でも業績伸長を見込む。
16年9月に発生した“従業員の指混入事件”のマイナスイメージをぬぐえず苦しんでいた幸楽苑HDだが、一時の危機を脱したようだ。
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