月旅行だけではない、話題の宇宙の旅、三大メニューとは?:宇宙ビジネスの新潮流(2/3 ページ)
米SpaceXのイーロン・マスクCEOが、2023年に同社が計画する大型ロケットBFRによる世界初の商業月周回旅行の乗客として、ZOZOの前澤友作CEOと契約したことを発表した。今回は、注目を集める宇宙旅行の現状を紹介したい。
滞在宇宙旅行:10日間ISSに滞在で数千万ドル?
2つ目の宇宙旅行が国際宇宙ステーション(以下ISS)への滞在だ。各国の宇宙飛行士が滞在するISSであるが、実は民間人も数人訪れている。サービスを提供するのは1998年創業の米Space Adventuresである。同社はさまざまな宇宙旅行プログラムを提供していて、ISSに関してはロシアのソユーズロケットを活用して飛び立ち、ISSに約10日間滞在するプランがある。
これまでに数人の民間人がISSを訪れた。最初の顧客は2001年に1週間ほど滞在した米国人のデニス・チトー氏だ。09年には7人目の民間人として、著名なエンターテイメント集団「シルク・ドゥ・ソレイユ」の創設者であるギー・ラリベルテ氏がカナダ人で初めての宇宙旅行客となった。滞在費は推定で数十億円と言われている。
同じくISSへの滞在プランを20年から提供すると発表した米Axiom Spaceは、15週間に及ぶ地上での事前トレーニング、往復の輸送費、10日間のISS滞在費の全て込みで5500万ドルとしている。同社は独自の商業宇宙ホテルを将来的に建設することも目指している。
ISSの運用は各国政府拠出で行われているが、24年以降はまだ確定していない。そうした背景もあり、民間企業が宇宙ホテルを建設して事業化するというビジョンが出始めている。例えば、米Orion Spanは、「Aurora Station」という独自開発モジュールを高度320キロメートルに打ち上げる計画を18年4月に発表、構想段階にすぎないが12日間の滞在を950万ドルで提供するという。
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