若者に人気のレモンサワーが“第2のハイボール”になりそうな3つの理由:飲食店にもメリット(3/5 ページ)
レモンサワーが若者を中心に受けている。メーカーや飲食店もこぞって新商品を投入しているが、単なるブームに終わらず、“第2のハイボール”としての地位を確立できるか。
広がりを見せるレモンサワーブーム
読者の中には、「いやいや、レモンサワーなんて今も昔も飲まれていたじゃないか」と、このブームを半信半疑で見ている方もいるかもしれない。そこで、世の中で起きているレモンサワー現象について紹介しておきたい。
(1): 「レモンサワーフェスティバル」の実施
2017年、日本初のレモンサワーフェティバルが、“レモンサワー発祥の地”といわれている中目黒で開催された。悪天候の影響で当初予定されていた開催日数の3日間が2日間に短縮されたにもかかわらず、2日目の途中でレモンサワーが売り切れてしまうほどの大盛況。延べ5208人を動員し、6679杯のレモンサワーが提供された 。2018年には、全国7会場で開催され、延べ6万5589人が来場した。そして、多くのレモンサワーファンが各地域のおいしいグルメと共に舌鼓を打った。
(2): 大手メーカーの商品開発が加速
コンビニやスーパーで販売されるレモンサワーも、アルコール度数が強めのハード系から、はちみつ漬けレモンや塩漬けレモンを使用したものなど、バラエティ豊かになっている。例えば、日本コカ・コーラが九州限定で発売したレモンサワー専門ブランド「檸檬堂」には、「定番レモン」「塩レモン」「はちみつレモン」の3種類がある。 宝酒造は「寶『極上レモンサワー』」を18年3月より発売。ラインアップを拡充し、現在4アイテムとなっている。売り上げ数量は、ほぼ販売計画通りで推移し、好調だという。
レモンサワー専用焼酎も登場しており、人気を集めている。サントリースピリッツは、18年2月に「こだわり酒場のレモンサワーの素」を発売したが、販売計画を当初の3万ケースから30万ケースに上方修正している。また、宝酒造のレモンサワー向け焼酎である宝焼酎「レモンサワー用」「タカラモダン」「タカラリッチ」は、18年4〜9月の販売数量が前年同期比2倍となっている。
このように、大手酒類メーカーがこぞってレモンサワー関連商品の開発を強化していることが分かる。
(3): 飲食店で積極的に扱いたくなる理由がある
前述した通り、レモンサワーといえば“昭和系居酒屋”で愛飲されていたものであるが、現在は、和食店やイタリアン、ホテルのバーでも提供されている。オリジナルのレモンサワーを提供することで他店と差別化できる可能性がある上に、作る際のオペレーションや原価調整が簡易であることも、飲食店が商品開発を積極的に行う要因だと考える。
実際、飲食店でもレモンサワーの売り上げは伸びているようだ。サントリーホールディングスによると、業務用レモンサワー市場は伸長を続けており、「スーパーチューハイ樽」の出荷数量は2014年から17年にかけて26%増加している。 また、宝酒造の広報担当者は「飲食店さまから、レモンサワーの注文数(杯数)が増えているという声を多数いただいています」と語る。
余談であるが、先日、30代女性向け雑誌を読んでいたら、“会社帰りにカウンターで一杯飲みながら彼を待つシーン”で美しいモデルが手にしているドリンクがレモンサワーであることに驚いた。一昔前はシャンパングラスだったはずなのに……。レモンサワーブームもここまで来たかと、思わず自身のSNSに投稿したものだ。
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