グリーと中国「ビリビリ動画」運営元が提携 ゲーム開発・VTuber事業で協力:ジョイントベンチャーも設立
グリーと中国Bilibiliが業務提携。12月に合弁会社を設立し、スマホゲームアプリを共同開発していく。「VTuber」事業でも協業し、配信でも連携する。
グリーは10月30日、動画共有サイト「bilibili(通称:ビリビリ動画)」を運営する中国Bilibili(ビリビリ)と業務提携を結んだと発表した。12月に合弁会社「bGゲームス」を設立し、日本と中国市場に向けたスマートフォン向けゲームアプリを開発していく。架空のキャラクターを駆使した動画配信「VTuber」分野でも協業し、日中での配信などを実施していく。
「ビリビリ動画」は2009年にオープン。「ニコニコ動画」と同様、画面上にコメントを表示する“弾幕”機能を持つ。10〜20代の若者を中心に人気を集め、全世界に約1億人のアクティブユーザーが存在する。日本市場には15年に進出し、ライセンスを獲得したアニメの配信や、自社でのアニメ制作を行ってきた。
外資への規制を協業でカバー
グリーの田中良和社長は、提携の背景を「当社はIP(知的財産)コンテンツをグローバル展開する施策に注力してきた。中でも、20年に市場規模が2.5兆円に達すると予測されている中国市場に(IPを)出せるアプローチを考えてきた」と説明。
「だが、中国には外資の参入規制があり、日本企業が単独で進出するのは難しい状況だ。そこで、ゲームやアニメをよく知るビリビリと組むことで、今まで無いような新しいコンテンツを作れると考えた。ビリビリはベストパートナーだ」と期待を語る。
ビリビリの陳睿(チェン・ルイ)CEO(最高経営責任者)も「両社が手を組むことで、国の状況が異なるという弱点をカバーしたい」と強調する。
著名クリエイター迎えてゲーム開発
両社のジョイントベンチャー「bGゲームス」の資本金・出資比率は非開示だが、Bilibiliがマジョリティーを持つ。ビリビリの張峰(ズァン・フン)副総裁が社長に就き、東京・渋谷区にオフィスを構える。
主な事業内容は「コンテンツを共同開発し、優れたIPをユーザーに送り出す。実力ある日本の作家やクリエイターと高度な開発を行っていく」(張副総裁)という。
第一弾として、「ソードアートオンライン」を手掛けた三木一馬氏、「ミリオンアーサー」シリーズを手掛けた安藤武博氏の両クリエイターをプロデューサーに迎え、日本・中国市場向けのゲームアプリを企画・開発していく。
「すでにデビュー作(の開発)に取り組んでいる。詳しい内容は企画スケジュールが決まった段階で発表する」(張副総裁)
日中でVTuberの動画配信
VTuber事業では「ビリビリ動画」などのサイトなどを活用し、グリーが開発したコンテンツを日中両方で配信する。中国人ユーザー向けに同時文字翻訳機能も導入する予定。ビリビリや同社の投資先が制作したVTuberコンテンツを、グリーのプラットフォーム上で配信することも視野に入れているという。
「日本向け」「中国向け」は意識しない
今後のゲーム・VTuberコンテンツの制作方針について、グリーの前田悠太上級執行役員は「映画『君の名は。』が世界中で人気になったように、日本のコンテンツは海外で支持されるし、その逆もある。日本と中国の垣根はなくなっていると感じており、『日本向け』『中国向け』と意識して制作するつもりはない」と明かす。
グリーの田中社長は中長期的な展望についても触れ、「今後はゲーム・VTuber事業にとどまらず、さまざまな取り組みを行い、より大きな成功に導きたい」と力を込めた。
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