「70点の及第点狙いじゃ、その先に何もない」 ココナラ・南章行社長:【新連載】神田れいみの「突撃! 社長のガチンコ人生論」(1/5 ページ)
フリーアナウンサーの神田れいみです。この連載ではさまざまな業界で活躍する経営者にインタビューし、彼ら自身の「働き方」や「生き方」に迫ります。第1回目は、ココナラの南章行社長にお話を聞きました。
皆さん、はじめまして。フリーアナウンサーの神田れいみです。
慶應義塾大学総合政策学部を卒業後、この仕事に就いて3年目を迎えました。現在、男子プロバスケットボール「B.LEAGUE(Bリーグ)」応援番組のMCやラジオDJなど、さまざまな分野で活動しています。
そして今回から「ITmedia ビジネスオンライン」で連載を持つことになりました。昔から文章を書くことが好きで、大学時代は小説執筆のゼミを履修していました。「いつか執筆の仕事をしてみたいな」と、当時から漠然とした夢を抱いていましたが、このような機会が巡ってきました。私らしく、アツく、率直で、飾らないコラムを書いていきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願いします!
さて、この連載コラムでは、さまざまな業界で活躍する企業経営者の方にインタビューし、彼ら自身の「働き方」や「生き方」に迫っていきます。例えば、人生の転機や、大失敗からどうやって這い上がったのかなどを伺うことで、それがビジネスパーソンの皆さんにとって仕事のモチベーションアップなどにつながれば嬉しいです。
連載第1回目は、ココナラの南章行社長にお話を聞きました。
ココナラは、オンライン上で知識やスキル、経験を売り買いできるフリーマーケットで、その商品は20万種類にも及びます。モノを売るのではなく、目に見えないスキルを売るという新たなサービスとして注目されています。
人々の得意なことを商品として提供しようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。そこには「人が自分らしく生きることをサポートしたい」と起業した南さんの熱い思いが込められています。
好きなことで誰かに貢献している人は生き生きしている
人が自分らしく生きることをサポートしたいといった哲学はどこから生まれたのでしょうか。
きっかけは、英オックスフォード大学へのMBA留学と、NPOでの経験です。
南さんは大学卒業後、メガバンクに就職、その後ファンドに転職して企業買収の仕事をしている中で、「経営は意思決定だ」と気付きました。論理的に考えるだけでは決められない難しい問題について、経営者自身の信念に基づいて決める。これが本当の意味での経営だと痛感しました。そのスキルを磨くべく、MBA留学を決めました。MBAは机上で経営の理論を学ぶ場だと思われがちですが、本質は、実際のビジネス現場で起きた答えが見えない課題についてディスカッションすることで、経営者としての信条を育てていく場だと捉えているそうです。
オックスフォード大学の特徴は、社会起業に力を入れていること。ビジネスの神髄を学びに来たはずなのに、最初の授業のオリエンテーションで「社会起業家になれ」と言われた時は驚いたそうです。学校のポリシーとして「社会のために」が根底に流れている。世界最高のビジネステクニックを学んで、社会に貢献する。これがオックスフォードのスタンスなのです。
学生も特徴的でした。先進国の出身者は資本主義の限界を感じて、いかに社会を良い方向へ導くかを考えている。一方、途上国の学生は、いかに国の経済成長に貢献するかを考えている。あらゆる価値観を持った人々に囲まれながら、毎日「究極の選択」の1000本ノックを受け、自然と自分自身の軸や価値観が形成されていきました。
そんな南さんに転機が訪れます。
あるとき、オックスフォード大学で世界中の社会起業家を集めたイベントがあり、そこで「blastbeat(ブラストビート)」という音楽を使った社会教育プログラムと出会いました。高校生や大学生が音楽会社を作ってライブイベントの企画から運営まで全うする活動で、大人はサポーターとして携わります。
元々音楽が好きで、いつか音楽でビジネスをしたいという漠然とした夢を持っていた南さんは興味を持ち、ブラストビートを日本に展開させることにしました。
音楽好きが集まって子どもの成長をサポートできるなんて、週末の最高のぜい沢ですよね。初めてのライブが成功したときは号泣でした。子どもたちを元気にしたいと思って始めた活動でしたが、元気をもらっていたのはわれわれ大人だと気付かされたといいます。
「自分の好きなことで誰かに貢献でき、それによって人々の幸せを実感している人は、生き生きしている」――。そんな瞬間を提供できていることに南さん自身も幸せを感じました。他人に貢献するという喜びが、「自分のスキルで人の役に立とう」というココナラの理念につながっていきました。
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