世界で100社がひしめき合う! 過熱する小型ロケットの商業打ち上げ:宇宙ビジネスの新潮流(1/2 ページ)
ユニコーン企業として有名なRocket Labが、小型ロケット「エレクトロン」で初の完全商業打ち上げに成功した。小型ロケットビジネスにおける歴史的快挙だ。
11月11日、小型ロケットベンチャー企業、米Rocket Labが初の完全商業打ち上げに成功し、顧客企業の衛星を無事に軌道投入した。世界が待望してきた小型ロケットビジネスにおける歴史的快挙だ。
2週間に1度の打ち上げに挑戦
ユニコーン企業(時価総額が1000億円を超える未上場企業)として有名なRocket Labが、小型ロケット「エレクトロン」で初の完全商業打ち上げを実施した。ニュージーランドのマヒア半島にある自社の打ち上げ射場からロケットを打ち上げ、顧客企業の衛星6機を軌道投入した。
エレクトロンは全長17メートル、直径1.2メートルの2段式ロケットで、高度500キロメートルの太陽同期低軌道に、最大150キログラムのペイロードを打ち上げる能力を有している。エンジン製造に3Dプリンタを活用するなど、低コスト化だけでなく量産化も見越す。
同社は2018年1月に2回目の試験打ち上げを実施した。その際にも顧客企業の衛星3機を所定の軌道に投入することに成功したが、あくまで試験打ち上げという位置付けだった。今回はミッション名が「It’s Business Time」と名付けられたように、初の商業打ち上げとして注目されていた。
今後18カ月分の受注残を保有しており、次回打ち上げは今年12月を予定している。19年は年間16回の打ち上げを予定する。同社のピーター・ベックCEOは「来年は月1回の打ち上げで始めて、2週間に1度の打ち上げへと挑戦していきたい」と攻めのコメントしている。
世界で100社以上が開発
小型ロケットは、世界で需要が増す小型衛星の打ち上げニーズに応える形で開発が激化しており、ベックCEOも「100社以上が取り組んでいる」と語る。
最も多いのが米国だ。今回のRocket Lab以外にも、米Firefly、米Vectorの取り組みは著名だ。また空中からのロケット打ち上げという構想を掲げる米Virgin Orbitも存在する。
こうした動きをNASA(米航空宇宙局)も支援する。まだ各社がロケットを開発中だった15年には「Venture Class Launch Services」と題したプログラムを立ち上げ、顧客として各社と470万〜690万ドルの打ち上げ契約をしたことは業界内部でも大きな話題になった。
昨今は中国企業の躍進も目立つ。中国では14年に宇宙産業(特に商業打ち上げサービスと観測衛星)に対して民間資本を流入させる方針を政府が発表。それ以降に多様な企業が誕生しており、その全貌をつかむことは難しい。
小型ロケットでは、北京に本社を構えるOneSpaceが今年8月に資金調達を発表。15年8月以来、これまでに100億円以上を調達しており、高度200〜1000キロメートルまで到達する「OS-M」など複数のロケットを開発中だ。
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