中小企業の「現金管理」に年間8861億円の人件費 キャッシュレス化の遅れが招くデメリット:経営者の反応は鈍い?
決済サービスを手掛けるSquareはこのほど、キャッシュレス化などに関する調査結果を発表。中小企業は現金集計に対して年間147時間を費やしているといい、人件費に換算すると8861億円に上るという。
決済サービスを手掛けるSquare(東京都港区)はこのほど、キャッシュレス化などに関する調査結果を発表した。中小企業は現金集計に週1.75時間、銀行への入金に週1.06時間――など、現金集計に対して年間147時間を費やしているといい、人件費に換算すると8861億円に上るという。
中小企業で受け付け可能な決済方法では「現金」(95.3%)が最多で、次いで「クレジットカード」(49.8%)、「掛け売り(請求書払い)」(22.6%)、「電子マネー」(18.8%)、「商品券」(17.4%)だった。
消費者が買い物をする際の決済方法として最も利用しているのも「現金」(68.9%)だったが、「クレジットカード」(59.4%)、「電子マネー払い」(36.2%)、「ポイントカード払い」(20.1%)と、現金以外の決済方法を利用する人も多かった。
また、クレジットカードが利用できず購入を諦めた経験のある人は22.9%いた。このことからも、キャッシュレス決済に対応していないと機会損失につながる可能性が高いという。
上智大学法学部の森下哲郎教授は「対面では現金で支払いたいという消費者が多かったが、決済に対する消費者のニーズが変わる可能性が大きい。消費者ニーズにかなったカード決済導入により、ビジネス機会拡大につながるのではないか」と分析する。
だが、中小企業の経営者は顧客の現金以外の決済ニーズに対する反応が鈍い傾向があるという。
経営者と従業員に顧客が好む支払い方法は何か聞いたところ、日ごろ顧客に接している従業員の54.8%は「クレジットカード」と答えた一方で、経営者で「クレジットカード」と回答した人は39.1%にとどまり、約16ポイントも開きがあった。
Square日本法人代表の水野博商氏は「今回の調査では現金を取り扱うことにもコストがかかっていることが明らかになった。キャッシュレス対応をすることで、機会損失を最小限に抑え、生産性を向上させ、しいては売り上げ拡大が可能になるという認識を、経営者が持つことが重要だと考える」とコメントしている。
調査は9月28日〜10月2日にかけて、従業員100人以下の会社経営者と従業者、個人事業主632人を対象にインターネット上で実施。10月1〜2日にかけて、全国20歳以上の男女1464人を対象にインターネット上で実施した。
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