凡人の起業法 40カ月でKDDIグループに事業売却できた社長の秘密:凡人だから有利な点がある(3/3 ページ)
小原さんは、スマホゲームメディア企業を創業し、わずか40カ月でKDDIグループに売却を果たした起業家だ。しかし、起業には素晴らしいビジョンもいらないし、極端な話事業計画さえなくていいと言う。代わりに最も重要なこととは……。
むしろ起業したほうがリスクが小さい
「マーケット選びさえ失敗しなければ、むしろ起業したほうがリスクが低い」。小原さんはそう断言する。
初期に採用した社員の一人は、年収350万円くらいで人材紹介会社からオファーが出るような方だったという。しかし、小原さんの会社で業務をこなし、急成長企業で働いたという経歴もつき、その後はオファー金額が650万円まで上がったという。従業員の市場価値を上げられたことを小原さんはうれしそうに話す。
もし起業に失敗したとしても、起業経験は転職時のバリューを確実に上げる。
「起業して分かったことですが、できれば元社長を採用したい。資金繰りの大切さを知っているからです。従業員として働いている人だと、会社から予算を取ってくるという思考になる。ところが社長経験者だと、やりたいことを行うには資金が大事だよねということが分かる」
昨今話題の副業についても、単なるお小遣い稼ぎだとは考えず、将来の起業を視野にいれることが大事だという。
「副業をダブルインカムで考えると効率が悪い。でも起業を考えた上で、それに関連する副業をするのはいい。自分が専門家になっている領域で副業を進めていけば、起業しても黒字になると思う」
起業家を応援したい
小原さんは今後、自分の経験を元に起業家を応援したいと考えている。起業家が増えることは日本が元気になることだという思いだ。
「今はそんなふうに思う私でさえも、創業まで15年もかかりました。“起業しよう”と思いながらも、ずっと日常に流されてしまっていたからです。ようやく起業し、3年で一つの結果を得ましたが、失敗だらけ。振り返ると『相談はしたかったが、初めての起業ゆえに土地勘がなく、誰にどんな質問すべきか分からない』という課題がありました」
自分が欲しかったものを、起業を検討している人やシード起業家に対して提供する“ブースター”の役割を果たしていきたい。そのためStartPointというスタートアップ支援の企業を新たに設立した。
「並外れた起業家が大きく成功する力添えより、多くの挑戦者の成功確率を上げていきたい」
“凡人”を自認する起業家だからこそ、普通の挑戦者に伴走していきたいというのが小原さんの思いだ。
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