“パワハラ放置”社会が「子どものいじめ」を増長? 「見て見ぬふり」の大きな代償:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/5 ページ)
「パワハラ防止措置」の法制化がようやく進められることになった。だが、それだけでなく「自分たちの問題」として考えることが必要だ。大人のパワハラ、あるいは「見て見ぬふり」という行動が、子どもたちの振る舞いにも影を落としている。
そもそも私たちは職場に「人格」や「人間性」まで提供しているわけではありません。
全ての社員が「家に帰れば、誰もが大切な父であり母であり、息子であり娘」です。職場のハラスメントなんかで、うつに至らしめられたり、苦しめられたりしていいわけないのです。
企業は「はい! 相談窓口設置しました! これでオッケー!」とアリバイづくりに精を出すのではなく、実効性のある措置を「自分たちの問題」として取り組んでいただきたいと心から願います。
増え続ける「子どものいじめ」
さて今回は、大人のパワハラが子どもの「いじめ」に影響を与えている可能性について、少々お話ししたいと思います。
先月、全国の小中高などで2017年度に認知したいじめが過去最多の41万4378件だったことが、文部科学省の問題行動調査で分かりました。
16年度と比べると9万1235件(28.2%)増。増えた背景には、早期対策のため、同省が軽微なものでもいじめと捉えるよう促しているためとみられていますが、いじめが原因で自殺する生徒が後を絶たないなど、深刻な事例はなくなっていません。
小中高の児童生徒で自殺したのは250人で、16年度から5人増加。小学校は6人、中学校は84人、高校は160人です。原因は「不明」が140人で最も多く、いじめは10人と報告されています。
また、生命や心身への重大な被害、不登校につながった可能性がある「重大事態」は16年度比78件増の474件で、小中高における暴力行為の発生は6万3325件で過去最多。小学校は7年連続で増えており、中高は減少傾向にあります。
さらに、インターネットや交流サイト(SNS)の誹謗(ひぼう)中傷が1万2632件と過去最多を更新するなど、表に出にくいいじめに苦悩する子どもたちの姿が浮き彫りになりました。
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