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減り続ける「管理職のイス」と“死亡率”急上昇のリアル:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/5 ページ)
「管理職になりたくない」人が6割を占める調査結果が問題になっているが、管理職の椅子が減っている現状を考えれば、希望者は4割で十分。それよりも、管理職の在り方そのものを見つめ直す必要がある。
管理職になりたくない――。
役職に就いていない会社員の61.1%が、管理職昇進に否定的な意見を持っていることが、厚生労働省が9月末に発表した「平成30年版 労働経済の分析(労働経済白書)」で分かりました(対象は正社員1万2355人)。
この結果を「こりゃあ、大問題だ!」というニュアンスでマスコミは一斉に報道していましたが……。「まぁ、そうなるよね」というか、「そんなに問題にすることなのか?」というのが個人的な見解です。
そりゃあ誰だって、責任ばかりを押し付けられ、残業手当はなくなり、横柄な年上部下の扱いに悩んでいる「上司」たちをみれば「なりたくない!」と思うはず。
実際、調査でも昇進したくない理由を聞いたところ(複数回答)、
- 「責任が重くなる」が71.3%
- 「業務量が増え、長時間労働になる」が65.8%
- 「現在の職務内容で働き続けたい」「部下を管理・指導できる自信がない」が57.7%
と、予想通りの結果です。
しかも、同調査では「管理職以上に昇進したい」と回答した人が4割、38.9%「も」存在する。
大手メディアは、この結果を「38.9%にとどまった」と表現していますが、管理職のポジションが年々減らされている現状を鑑みれば、昇進意欲がある4割を教育すれば問題なし。しっかりと意欲ある人たちを教育すればいいのです。
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