減り続ける「管理職のイス」と“死亡率”急上昇のリアル:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(2/5 ページ)
「管理職になりたくない」人が6割を占める調査結果が問題になっているが、管理職の椅子が減っている現状を考えれば、希望者は4割で十分。それよりも、管理職の在り方そのものを見つめ直す必要がある。
確実に減った「管理職の椅子」
今から7年前の2011年。連合が従業員数100人以上の企業を対象に調査を実施したところ、「大卒の男子50〜54歳で、係長・課長・部長などの役職に就いていない人の割合は、1985年では19.9%だったのが、2002年に32.0%になり、10年には36.0%まで増加した」ということが明らかになりました。
同様の結果は、13年に厚労省が行った調査でも示されています。4年制大学を卒業した50〜54歳の男性社員のうち、課長や部長といった管理職に就いていない人は55%と半数を超え、20年前に比べると8.9ポイント増加。
さらに、16年の厚労書の調査では、企業の規模に関係なく、「課長は40代後半」「部長は50代前半」が最も多く、定年退職を控えた50代後半は、67.8%が課長以上の管理職に就いていないことが分かっています。
課長昇進が珍しくなかった昭和の時代には、それ以上出世しない社員を「マンネン課長」などと、揶揄(やゆ)しましたが、7割近くが「マンネンヒラ」の時代に様変わりしました。
つまり、管理職になれるのは30%程度。「管理職以上に昇進したい」と回答する人は4割で良いのです。
それとも、就活で人事部が「いい人材を確保するため」にエントリーする学生を増やすことに躍起になっているように、企業もたくさんの人が管理職志望にならないと「いい管理職が確保できない」とでも勘違いしているのでしょうか。
いずれにせよ「管理職の椅子」は確実に減っています。私はそのことの方が、むしろ問題だと思っているのです。
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