「何度失敗しても、私が前を向き続ける理由」 AKB48・岡田奈々の生きる道:アイドルというキャリア(4/5 ページ)
真っ直ぐに頑張っている人が報われるように――。こうした思いを持ち続けて、日々奮闘する女性がいる。アイドルグループ、AKB48の岡田奈々さんだ。彼女の人生を紐解いていく。
AKB48を辞めようと思った
AKB48は人生のすべてだと言い切る岡田さんに、かつてないほどの困難が襲ったのは2015年ごろのこと。
仕事に対するプレッシャーとの闘いの日々で、次第に心身ともに押しつぶされていったのだ。けれども、それを口にすることができない。強い姿を見せなくては、とにかく頑張らなければと無理を重ねるうちに、自己嫌悪、自己否定といった悪循環に陥ってしまう。
「元々、ネガティブ思考な性格で、いろいろと考え込んでしまうのです。悩みが頭から離れませんでした」
いよいよ体調がすぐれないので医師のもとへ。診断されたのは、機能性低血糖症だった。これは、過激な食事制限、過食といった食生活の乱れやストレスなどが原因で、血糖値が急激に低下、あるいは低い状態にとどまってしまう疾患のことである。
「精神的に追い込まれていた部分もありますし、体も限界でした。病気になったときにこのグループから離れようかなと思いました。AKB48を続けるという夢を諦めかけました」
そのころの苦悩、苦闘は、ドキュメンタリー番組「AKB48裏ストーリー 岡田奈々19歳、夢の代償」(16年11月放送、TBS)で詳細に描かれている。自信がない、辞めたいという本音を吐露している。
踏ん切りがつかない中で、迎えた17年。転機が訪れる。瀬戸内エリアを拠点とするSTU48という新しいグループを兼任、そしてキャプテンに任命されたのだ。
「(さまざまな迷いがある中で)STUという新しいグループに出会い、兼任することになって自分の人生が変わりましたね。そのときに自分自身の存在をちゃんと受け入れることができたのです」
今までは自分のために頑張らなくては、という観念にとらわれすぎていたところに、自分よりも全員が後輩、しかもデビューしたてのメンバー約30人をリードする立場になったのだ。そこで初めて岡田さんは自分の存在意義を確認することができたという。
立場は人を変えると言うが、岡田さんにとって、この若いメンバーたちのためにという責任感が生まれたのである。
「私はぐいぐい引っ張っていくリーダーではなく、皆で一緒に手をつないでグループを作っていきたいと思っています」
けれども、あまり言葉には出さないが、全力投球で仕事に向き合う岡田さんの背中を見て、メンバーたちは刺激を受けているのは間違いない。
関連記事
- 女子アナから働き方を変えた前田有紀さんがいま伝えたいこと
テレビ朝日のアナウンサーとして活躍した前田有紀さんは、入社10年という区切りの年に退社。そこからフラワーやガーデニングの世界に飛び込んだ。彼女自身の歩みを振り返りながら、いま、そしてこれからをじっくりと語ってくれた。 - AKB48選抜総選挙、沖縄開催の“本当”の理由
今週末に沖縄で「AKB48選抜総選挙」が開催される。同イベントは毎年大きな経済効果を生み出していて、今や地方の企業や自治体にとっても喉から手が出るほどのものになった。これまでは姉妹グループがある都市で開かれていたが、現状その条件に該当しない沖縄は“異例”。その舞台裏に迫った。 - 辛くても諦めず 「キャプテン翼」高橋陽一さんの漫画家人生
日本のサッカー界に大きな影響を与えた少年漫画「キャプテン翼」。作品のテーマである、諦めずに夢を追い続けることは、作者である高橋陽一さんの漫画家人生そのものである。 - 就活をやめてエストニアへ そこで私が確信した日本と世界のキャリア観の決定的な違い
普通なら就職活動真っ只中の期間である大学3年生の1月から大学4年生の6月までの約半年、就活を中断してエストニアに留学中の筑波大学4年生、齋藤侑里子さん。そんな彼女が現地で感じた、日本の就活への違和感、グローバルスタンダードなキャリアの築き方とは――。 - ドラゴンボールの生みの親 『ジャンプ』伝説の編集長が語る「嫌いな仕事で結果を出す方法」
『ドラゴンボール』の作者・鳥山明を発掘したのは『週刊少年ジャンプ』の元編集長・鳥嶋和彦さんだ。『ドラゴンクエスト』の堀井雄二さんをライターからゲームの世界に送り出すなど、「伝説」を残してきた鳥嶋さんだが、入社当時は漫画を一切読んだことがなく『ジャンプ』も大嫌いだった。自分のやりたくない仕事で、いかにして結果を出してきたのか。 - プロ野球選手からビジネスマンに “生涯現役”貫く江尻慎太郎さんの人生
2001年にドラフトで日本ハムファイターズに入団。その後、横浜ベイスターズ、福岡ソフトバンクホークスでプロ野球選手としてのキャリアを過ごした江尻慎太郎さん。現役引退後、彼が選んだ道はビジネスマンだった。江尻さんの仕事観、人生観に迫った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.