AIはどこまで「判断」できるのか 安心なこと、不安なこと:見逃せない問題点(3/5 ページ)
AIの開発が進めば、人間はさまざまな労働から解放されて、便利な世の中になると言われている。では、近い将来、高度な判断力を要する業務もAIが行うようになるのだろうか。AIが得意なこと、不得意なことを考えてみると……。
AIと人間の「得意なこと・不得意なこと」
AI時代が到来すれば、AIの判断が人間の判断にとって代わる可能性は高まりますが、それでも人間の意思決定がなくなることはありません。なぜなら、 AIには、倫理的な判断や価値観(幸せ、好み)が絡む判断はできないからです。
そもそも、AIを導入するかどうかを判断するのは人間です。AIを無条件に信頼するのも1つの意思決定でしょうが、合理性だけでは割り切れない倫理面など人間らしい意思決定の機会もAIに委ねてしまうことは、私たちの社会になじむでしょうか。
結局、価値観や周囲の社会状況を加えた判断は人間が行い、複雑で時間のかかる作業をAIに任せることになると思います。つまり、AIの意思決定結果を「参考にする」ということです。
AIと人間の意思決定を対比し、AIの問題を考えることは、人間の意思決定、特に決断を考えるうえで役に立ちます。もう少し考えてみましょう。AI時代を生き抜くための情報として、AIと人間の「得意なこと・不得意なこと」を整理しておきます。
AIが得意とするのは、なんといっても記憶や計算、情報処理といった分野です。扱える情報量が格段に違うため、人間はAIに太刀打ちできません。AIは情報化できるものはすべてデータとして管理することができます。そのため、音声、画像、映像の認識や分析などの仕事はすでにAIなくして成り立ちません。
AIは記憶や情報処理能力に長けているので、マニュアル化された仕事も得意です。海外では、病院内で食事や処方せんを患者ごとに自動的に輸送するロボットがすでに実用化されています。食品工場では、ベルトコンベアで運ばれてくるレタスを測定し、品質基準に満たないレタスを選り分けるロボットが導入されています。身近なところでは、食材を伝えると献立を考えてくれる電子レンジや冷蔵庫など、AIを搭載した便利な家電製品が続々と登場しています。
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