コラム
AIはどこまで「判断」できるのか 安心なこと、不安なこと:見逃せない問題点(5/5 ページ)
AIの開発が進めば、人間はさまざまな労働から解放されて、便利な世の中になると言われている。では、近い将来、高度な判断力を要する業務もAIが行うようになるのだろうか。AIが得意なこと、不得意なことを考えてみると……。
最終的に意思決定するのは誰?
道具としてのAIを使うのも、「何のためにAIを用いて分析するのか」を考えるのも人間です。AIに仕事を指示し、導かれた分析結果にもとづいて最終的に意思決定することも人間にしかできない仕事です。
また、AIがどういう判断をするのかというルールは、そもそも人間が教え込まないといけません。判断基準を設定することや、倫理や価値を教える仕事はAIに代替されることはないでしょう。これらは、社会的合意によってのみ決定されるものです。
もしそれが代替されるようなら、人間は不要になります。AIが「人類は地球にとってマイナスだ」と判断すれば、人間は排除されることになります。そうした時代がやってくるのかどうか、もしやってくるとしたら、これはまさにSFの世界ですね。
著者プロフィール:印南 一路(いんなみ・いちろ)
1958 年神奈川県生まれ。慶應義塾大学総合政策学部教授。専門は医療政策と意思決定・交渉領域。東京大学法学部卒業、富士銀行(現在のみずほ銀行)、厚生労働省勤務ののち、ハーバード大学行政大学院、シカゴ大学経営大学院で学ぶ。シカゴ大学経営大学院助教授やスタンフォード大学留学などを経て、2001 年より現職。そのほか、株式会社キングジム社外取締役、厚生労働省中央社会保険医療協議会委員など。著書に『すぐれた意思決定』(中公文庫)、『意思決定トレーニング』(ちくま新書)、『人生が輝く選択力』(中公新書ラクレ)などがある。
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