広島でヒーローだった丸は、巨人でも活躍できるのか:赤坂8丁目発 スポーツ246(1/4 ページ)
広島東洋カープの丸佳浩外野手がFAで巨人へ移籍した。2年連続MVPに輝いたスター選手は、巨人でも活躍できるのか。気になるのは……。
球界の勢力図が一変するかもしれない。広島東洋カープの丸佳浩外野手がFAで巨人へ移籍した。2年連続MVPに輝いたスター選手の退団は、常勝軍団カープにとって間違いなく痛恨だ。鯉党から落胆の声が響き渡っているのは言うまでもない。対照的に移籍先のG党は、多くが狂喜乱舞していることだろう。
獲得を熱望していた巨人・原辰徳監督も、丸の移籍決断を耳にした直後はメディアの前に姿を見せ、目尻が下がりっ放しだった。これだけ当人の去就決定によって両チームを巡る明暗がくっきりとあらわになり、大きな波紋を呼ぶFA移籍選手も近年では珍しい。つまり、それだけ丸がインパクトのある選手ということだ。
何はともあれ、丸の決断には敬意を表さなければいけないと考えている。報道によれば、巨人の提示条件は5年総額35億円。年俸で換算すれば広島、そして他に獲得へ名乗りを挙げていた千葉ロッテマーリンズと比較しても群を抜いていた。
かつて東北楽天ゴールデンイーグルスからニューヨーク・ヤンキースへ超破格の条件で移籍した田中将大投手にイチローが「このオファーを受けたことへの覚悟と自信に、敬意が払われるべきだろう」と激励を込めて口にしたことがあった。田中ほどのスケールではないにしても、これになぞらえれば、丸が3球団の中で最も高額な条件を提示した巨人を選んだことは、それなりの「覚悟と自信」があってのものだと思う。
愛着のあるはずの広島、そして出身地の千葉をホームグラウンドとするロッテのオファーを蹴り、ジャイアンツ入りを決断すれば「カネの亡者」と猛烈なバッシングを浴びることは、必然の流れだったと言い切っていい。事実、今の世の中はそのような風潮になっているが、それは丸本人もきっと覚悟の上だったはずである。
もしかすると「少年時代から大の巨人ファンで今も密かに憧れを抱いている」というウワサもあることから、実際のところ、本音として条件面は二の次で純粋にYGユニホームへ袖を通したかったのかもしれない。しかし、それが仮に本当だったとしても、大半の鯉党は「それならば大好きな球団へ行ってくださいね」と簡単に許してしまうほど優しくはない。
百歩譲って、移籍先がパ・リーグのロッテならば、ここまで大きな騒ぎにはなっていないだろう。全国にアンチファンがワンサカといる巨人とあっては古巣の地元・広島市民が「丸よ、一体どういうつもりなんだ」と声をそろえたくなる気持ちも分かる。
関連記事
- 登山家・栗城史多さんを「無謀な死」に追い込んだ、取り巻きの罪
登山家の栗城史多さんがエベレスト登頂に挑戦したものの、下山中に死亡した。「ニートのアルピニスト」として売り出し、多くの若者から支持を集めていたが、登山家としての“実力”はどうだったのか。無謀な死に追い込まれた背景を検証すると……。 - ソ連で生まれた1100代目の「ハエ」が、なぜ注目されているのか
旧ソ連で生まれたハエが、世界を救うかもしれない――。このような話を聞いても「はあ? バカじゃないの?」と思われたかもしれないが、日本でひそかに選別交配を続けたことで、飼料と肥料を大量生産できる話があるのだ。どういった話かというと……。 - 卓球王者の張本が、いまひとつ支持を得られない要因
全日本卓球選手権の男子シングルス決勝で、14歳の張本智和が王者・水谷隼を破って優勝した。最年少優勝の偉業を達成したのに、いまのところ“張本フィーバー”は起きていない。なぜ新王者がいまひとつ支持されないかというと……。 - 築46年なのに、なぜ「中銀カプセルタワー」に人は集まるのか
新橋駅から徒歩5分ほどのところにある「中銀カプセルタワービル」をご存じだろうか。立方体の箱がたくさん積まれていて、丸い窓が並んでいる。1972年に建てられたこのビルが、数年前からジワジワ人気が出ているのだ。その謎に迫ったところ……。 - モスバーガーが「創業以来の絶不調」である、もうひとつの理由
業界第2位のモスバーガーが苦戦している。「創業以来2度目の絶不調」とも言われ、あれが悪い、これが悪いとさまざまな敗因が取り沙汰されている。どれも納得のいく話であるが、筆者の窪田氏はちょっと違う見方をしている。それは……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.