アジア攻めるNetflix、日本作品は生き残れるか 首脳部に直撃: 映像ジャーナリスト数土直志が問う(5/7 ページ)
映像配信の帝王、Netflixのアジア戦略に密着。シンガポールのイベントでは日本コンテンツの微妙な立ち位置が浮き彫りに。幹部は日本の出版社買収にも関心抱く。
「アジアはコンテンツが豊か」
インタビューのポイントは3点、「なぜいまNetflixがアジアなのか」「アジア展開における日本の位置付け」「Netflixの今後」である。ここからは今後の配信ビジネス、その中での日本の立ち位置も見えてくるのでないだろうか。
――今回、アジアでは初になる大型カンファレンスを開催しました。なぜいまアジアなのですか?
サランドス氏: アジアはとてもコンテンツが豊かなのです。例えばカンファレンスではインドの作品を多数発表しました。インドには豊かなコンテンツがありますし、非常に際立った才能が多いのです。そしてとても成長している地域であり、非常に大きなマーケットです。オンライン視聴も活発です。ですから、とても重要なのです。そして韓国の作品は韓国でとても重要なだけでなく、アジアで広く人気があります。
もちろん日本のアニメ、そして実写ドラマもです。今回は日本アニメについても非常に大きなニュースを発表できました。
――アジアのクリエテイティブとは、どのようなものなのでしょうか?
サランドス氏: 日本のアニメには、何にも比較することができないほどの価値があると思っています。韓国ドラマやインドのボリウッド映画もです。多様性があり、それぞれに個性的な才能があります。
――Netflix は今後100億ドルもの資金をオリジナル作品に投入するとの報道があります。このうちアジアのコンテンツにはどのくらいの投資をされるのでしょうか?
サランドス氏: われわれの届けるのはグローバルコンテンツなので、そこには区別は設けてないですね。それと競争上の理由もあって、国ごと、地域ごとでは公開はしていないのです。
――それはSFとかドラマとかドキュメンタリーといったジャンルの区分でもですか?
サランドス氏: そうですね。私たちの戦略がばれてしまいますからね(笑)。
Netflixにおける日本コンテンツとは
――日本のアニメ以外の実写ドラマの展開はあるでしょうか?
サランドス氏: 私たちは先日3つの実写ドラマ制作を発表しました。非常にエキサイティングなチャンスだと思っています。これまでも「宇宙を駆けるよだか」は、日本だけでなく海外でも評判を獲得しました。今はよいドラマを見つけて、それがどれだけ視聴者に関心を持たれるかを見極める必要があります。今後も日本の視聴者の様子をみながらドラマも広げていきたいと思います。
――そうした作品は日本の国内向けなのですか。それとも他のアジアやさらに世界にも向いているのでしょうか?
サランドス氏: 両方ですね。私たちは日本ドラマが日本に向けてより重要だと思っています。「テラスハウス」は非常に成功しましたし、アジアでは「深夜食堂」が成功しました。一方、アジア以外で受け入れてもらうのは難しいところもあります。
現在制作を進めている3作品は、当初の作品とはずいぶんテイストが異なっており、新しいチャレンジをしています。これらにとても自信を持っています。
関連記事
- 発売中止の作品まで…… アニメの“円盤”は消滅するのか?
アニメのBlu-rayやDVDの売り上げが減少している。動画配信サービスの普及が要因。ただ配信終了した作品は見れなくなるため揺り戻しの可能性も。 - Hikakinを超える日も!? アンリアルな謎の人気者「Vチューバ―」を追う
3Dのキャラクターがユーチューバーになる「Vチューバ―」が若年層に人気。特に5人のキャラが台頭しているが世界観の乏しさが課題で、コンテンツとしてもタレントとしても成立する必要がある - FGO3周年フェス 台風にも負けぬ熱狂が示すスマホゲーの未来像
人気スマホゲー「FGO」の3周年記念フェスに記者が潜入取材。世界観を繊細に再現したオブジェや出し物で幅広いユーザーのニーズに応えていた。 - ゴーン氏逮捕は「ホリエモン、村上ファンドの時よりひどい」 郷原信郎弁護士が指摘
ゴーン・日産前会長の逮捕について郷原信郎弁護士が問題点を指摘。逮捕するほどの案件では無かった可能性や、解明へ公正中立な第三者委員会の必要性を説く。 - 45万人が中国に数千億円の日本製品を転売 謎の在日バイヤーを追う
中国市場に数千億円もの日本製品を売り込む中国系バイヤーに迫った。日本に居ながらSNSを駆使し美容用品などを販売。日本企業が今後活用できるかが鍵。 - じぶん銀行が「ガチで萌える」2次元美少女の行員を作りこむ深い訳
じぶん銀行がカードローンPRのため2次元美少女行員「小鳥遊つぐみ」を起用。Twitterでつぶやく「中の人」も若手女子行員にしてリアルさを追求。マスCMでなく若い男性層に特に刺さる戦略を取る。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.