580億円の仮想通貨を流出させたコインチェックは“再生“できたのか:NEM流出事件から間もなく1年
今年1月の仮想通貨流出事件からまもなく1年が経つ。マネックスグループのもとでガバナンスやセキュリティの立て直しを進めてきたコインチェック。11月26日には各仮想通貨の売買を再開し、12月からは収支均衡も見えてきたという。
仮想通貨交換業としての登録はまだ完了しないが、コインチェックの内部体制の改善は進んでおり、中断していたサービスの再開も進んでいる。マネックスグループが12月12日に開いた事業戦略説明会で、コインチェックの勝屋敏彦社長が状況を話した。
「コインチェックは若い創業者が、システムやマーケティング面で引っ張ってきた。しかしITベンチャーということもありバランスが取れていなかった。マネックスが築きあげてきたガバナンスをビルトインした。重点的に資源を投入したのは、システムリスクと内部管理だ」
コインチェックは、今年1月の事件の前は国内有数の交換業者だった。スマホアプリのダウンロード数は170万に達しており、現在も9種類の仮想通貨を取り扱っている。マネックスグループによる買収後、体制を整えてきた。NEM流出の際に批判された点も受けて、全通貨についてコールドウォレット対応、マルチシグニチャまたはそれに類する対応を行った。現在60数人のエンジニアが開発を進めているほか、100人のスタッフがユーザーサポートとして働いている。
10月30日には新規口座開設を可能にし、11月26日までに各仮想通貨の入出金や購入も可能になった。11月までは赤字基調だったが、12月からは収支が均衡する目処もたってきたという。
当初の想定よりも仮想通貨交換業としての登録に時間がかかっているが、「登録は金融庁の判断。去年の9月から登録申請は出している。有言実行の姿を見ていただいて、将来的に(登録は)得られるもの」(勝屋氏)というスタンスだ。
ただし、マネックスグループとしてのシナジーも進めていく。「マネックス証券の顧客は40歳以上が多く、コインチェックは40歳未満が多い。足し合わせるとバランスの良い顧客基盤」(マネックス証券など日本セグメントを担当する清明祐子常務執行役)
2019年は、新規プレーヤーの仮想通貨交換業への参入が見込まれ、競争激化が見込まれると勝屋氏は話す。仮想通貨自体のニーズには楽観的だ。「中期的には(仮想通貨の)ニーズはアップしていく。かつてはアセットクラスとしてのみだったが、法定通貨と価値が固定されるステーブルコインなども出てきている。送金、ペイメントに活用したいニーズが増えてきている」(勝屋氏)
また取り扱う仮想通貨の種類についても、「方向性としては増やしていきたい。通貨を増やすときは、仮想通貨自主規制団体のチェックを受けて取り扱う」(勝屋氏)とした。
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