慰安婦・徴用工の「強制」表現めぐり炎上 ジャパンタイムズが叩かれたワケ:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
日本のニュースを扱う英字新聞「ジャパンタイムズ」が、「慰安婦」「徴用工」に関する表現を変更すると告知して炎上。釈明する社告の掲載に追い込まれた。なぜ海外メディアから厳しく批判される事態を招いたのか。ジャパンタイムズに欠けていた視点とは……
今、「ジャパンタイムズ(The Japan Times)」が海外で話題になっている。
そもそも日本で生活している日本人にとって、ジャパンタイムズと言われてもピンとこないだろう。ジャパンタイムズは、1897年創刊の日本最古の英字新聞。これまで、朝日新聞系列だったこともあるし、2013年からは米ニューヨーク・タイムズ紙と提携していた。筆者も以前はニューヨーク・タイムズとジャパンタイムズのセット販売を購読していたことがある。
同紙は、独立メディアとして、日本のニュースを英語で読む読者に提供。偏りもなく淡々と事実を伝えるメディアであり、また日本を知る外国人などによるコラム記事も興味深いものが多かった。
そんなジャパンタイムズが炎上しているという。そこで少し調べてみると、確かに海外でジャパンタイムズ自体がニュースになった記事がいくつも報じられている。例えば、香港のサウスチャイナ・モーニングポスト紙は、日本の共同通信による英字記事を掲載している。その見出しは、少し長めだがこんなものだった。「ジャパンタイムズが戦時中の『慰安婦』について、安倍晋三首相の考え方に沿って編集指針を変更したという指摘を否定した」
言うまでもなく、「慰安婦」に関する問題は非常にセンシティブな話だ。元読者ではあるが、恥ずかしながらジャパンタイムズが「編集指針を変更」したことはまったく知らなかった。だいたい、ジャパンタイムズなる新聞が編集方針を変更したなんて話は、英語で新聞を読む必要のない日本人の多くは知る由もない。
ただ世界的に見れば、これはニュースである。日本を代表する英字メディアが、慰安婦について何らかの立場を示したのだから。
そんなことから、この件を取り上げている記事などを読んでいくと、ジャパンタイムズが残念なことになっているのが分かる。世界への「窓」である、日本を代表する英字メディアにいったい何が起きているか。そしてこの「慰安婦」「徴用工」問題について、どんな騒動が起きているのか。
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