「日本が嫌い」になる外国人を増やす、穴だらけ改正入管法の欺瞞:河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(4/5 ページ)
外国人労働者の受け入れを拡大する入管難民法などの改正案が成立。「移民政策ではない」とする矛盾を抱えて成立した法案には問題が多い。外国人を「よそ者」扱いする社会のままでは、日本を嫌いになる外国人が増えるだけではないか。
だいたい50代以上のバブル世代をターゲットにしたリストラが相次いでいるというのに、まったくもって納得できません。
東芝はグループで7000人削減、富士通はグループで5000人を配置転換、NECは3000人削減、三菱UFJフィナンシャル・グループは9500人分、三井住友フィナンシャルグループは4000人分、みずほフィナンシャルグループは1万9000人分の「業務量」削減……etc.
とどのつまり、欲しいのは「日本経済の底辺を支える労働者」。労働の冗長性を担保するための存在であることは明白なのです。
「生活者」であることを忘れ去られる現実
【労働者である前に「人」】
「見えない鎖国が日本にはある」。日本で働く外国人の知人が言っていた言葉です。
日本人であれば容易にクリアできる問題が、外国人というだけで大きな壁になることが日本にはたくさんあります。
つまり、受け入れた後の「生活者」としてのサポート体制が、法案ではまったく議論されていません。外国人労働者問題は社会福祉問題と併せて考える必要がありますし、私たちも「同じ国で暮らす仲間」として受け入れる心構えが必要不可欠です。
日本人であれ、外国人であれ、「労働」するためだけに人は存在するわけではありません。どんな人にも生活があり、大切な家族がいる。母親であり、父親であり、子どもです。国と国を分ける境界線はあっても、人と人を分ける境界線はありません。
それなのに、そんな当たり前が「外国人」という接頭語が付けられた途端、忘れ去られる現実が日本には存在します。外国人労働者となった途端、「モノ(=労働力)」として扱われてしまうのです。
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