酒を売り始めたヨドバシに立ちはだかるビックカメラの厚い壁:店舗とネットで取り扱い(1/2 ページ)
ヨドバシカメラがネットと店舗で酒類の販売をスタートした。同じ家電量販店ではビックカメラが酒類販売を充実させている。ヨドバシはビックを超えられるか。
「最後発ですが、頑張っていきたいと思います!」
店員は日本酒の試飲をする記者に向かって、こう力強く語りかけた。
ここは、ヨドバシカメラ新宿西口本店(東京都新宿区)に12月14日にオープンした「ヨドバシ酒店」。ヨドバシは12月13日から通販サイト「ヨドバシ・ドット・コム」で約7000アイテムの酒類販売を開始したのにあわせ、同店をオープンした。
酒類を販売していない家電量販店もあるなかで、なぜ店員は「最後発」という言葉を使ったのだろうか。ヨドバシ同様、都心部に出店している競合チェーンにはヤマダ電機やビックカメラがあり、いずれも店舗や通販サイトで酒類を販売している。冒頭の発言をした店員の頭の中には、酒類販売で大きくリードするビックの存在があるとみられる。
品ぞろえの拡充はこれから
オープン初日、記者はヨドバシ酒店を訪問してみた。店舗の1階では店員が寒空の下「ヨドバシ酒店、でっかくオープン!」と書かれた看板を持ち、呼び込みを続けていた。
店舗の中には、ビール、缶チューハイ、日本酒、焼酎、ウイスキー、ワインなどが所狭しと並んでいる。売り場面積は約68坪(約220平方メートル)で、取り扱いアイテム数は約1500だという。
店舗をまわってみると、コルク抜き、すず製のぐい飲み、ワイングラスといったお酒を楽しむための関連商品が充実していることが分かった。価格帯も1000円未満から数千円のものまで幅広い。また、家電量販店らしく数万円〜40万円のワインセラーをそろえたコーナーもあった。
「いいちこ」や「サントリー 角瓶」といったように、スーパーやコンビニでも買えるような低価格帯の商品だけでなく、720ミリリットル入りの瓶に入った4000円程度のやや高級な焼酎や1本7万円以上するワインなども陳列されていた。
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